2023年12月22日(金)
「マイナ保険証」解除予定していた
19年システム発注で明記
今年も追加改修249億円
宮本岳志議員に厚労省資料示す
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マイナンバーカードの健康保険証利用は本来任意なのに、いったん登録すると解除できません。これについて、政府は任意で解除可能とすると8月に公表。厚生労働省はこのシステム改修の費用として今年度補正予算で249億円を計上しました。ところが4年前のシステム発注当初、解除を予定していたことが、日本共産党の宮本岳志衆院議員の求めで厚労省が提出した資料で分かりました。
提出されたのは「オンライン資格確認等システムの設計・開発業務一式調達仕様書」です。2019年4月に社会保険診療報酬支払基金が作成しました。
仕様書とは、システムなど外部に発注する際に、発注者が求めている機能や性能を記したものです。
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提出された仕様書によると「国民等が実施する主要操作」として「被保険者(利用者)が(中略)マイナンバーカード(中略)と資格情報の紐(ひも)付けの解除を行う」としていました。
このシステム開発には、17年度~21年度までに計468億円をかけ、そのほとんどが19年度以降に投じられています。しかし、仕様書に書かれた機能は、実現していませんでした。
また、仕様書の「契約形態」という項目には「『目的及び期待する効果』を実現するために合理的に考えられる仕様については全て実現したシステムの完成を求めるため請負契約とする」としていました。
宮本議員の問い合わせに厚労省は「優先順位を考え仕様書に書かれていても採用しなかった」「詳しい経緯はわからない」と回答しました。
宮本氏は「なぜ解除という必要な機能を備えなかったのかが問題。経緯も含め明らかにする必要がある」と指摘します。
解説
二重投資 経緯示せ
マイナンバーカードを取得するのも本人の意思、健康保険証代わりに使うかどうかも任意なのに、なぜ登録が解除できないのか―。この問いを日本共産党の宮本岳志議員は衆院総務委員会で重ねてきました。
厚労省は「いったん利用登録した後の取り消し処理はできない。システムの仕組み上もできない」と答えてきました。
ところが、マイナンバーのトラブルが相次ぐ中、政府の検討会は、利用登録の解除可能へと方針転換しました。その結果、249億円をかけた今回のシステム改修となりました。
しかし、宮本議員の調べで、実際には当初のシステム整備の段階から解除機能を完成させておかねばならなかった疑いが浮上しました。これでは二重投資となります。
不透明なシステム改修の背景に、現行の保険証の廃止があるのではないでしょうか。廃止は中止すべきです。(矢野昌弘)