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2023年12月17日(日)

主張

与党税制大綱

ゆがみ広げる大企業優遇拡充

 自民・公明両党が14日、2024年度の与党税制改正大綱を決定しました。国民が強く求めている消費税減税にいっさい言及せず、その一方、大企業優遇を拡充する施策が数多く盛り込まれました。所得の再配分を通じて格差を是正する税本来の機能をさらに損ない、経済のゆがみを広げる方向です。

法人税減税「効果なし」

 大綱は、冒頭の「基本的考え方」で、約40年間にわたって法人税率を段階的に引き下げた中で「法人税の税収力が低下している」と述べました。企業が投資拡大や賃上げに取り組むことを期待したものの、結局、内部留保と現預金が積み上がったと認めました。しかし、「法人税改革は意図した成果をあげてこなかったと言わざるを得ない」とまるで人ごとです。

 かつて40%以上だった法人税率(基本税率)を23・2%に引き下げたのは自民党政権です。減税や非正規雇用の拡大で大企業の負担を減らす「コストカット型経済」をつくりあげたことに対して責任の自覚はありません。

 無反省な姿勢から出てくる対策はさらなる大企業優遇です。長年実施して効果のなかった「賃上げ促進税制」をさらに強化します。大企業には賃上げの増加に応じて控除率を上乗せします。

 中小企業の6割は赤字経営のため法人税課税の対象外です。大綱も、中小企業には「税制措置のインセンティブが必ずしも効かない」と認めています。ならば、中小企業支援として強く求められている社会保険料の負担軽減に踏み切るべきですが、直接届く支援には背を向けています。

 大綱が投資促進策として打ち出したのは、半導体、電気自動車など「戦略分野」の国内生産・販売に対する10年間の減税と、国内で研究開発した知的財産の売却所得への課税を7年間軽減する「イノベーションボックス税制」です。

 すでに大企業向けには、研究開発減税、連結納税制度など、税を軽減する特権的な措置がいくつも設けられています。利益に対する大企業の実質的な法人税負担率は10%程度しかありません。

 法人税の税収力低下を問題にするなら、行き過ぎた大企業優遇をやめて利益に応じた税を払わせ、暮らしの向上に使える財源を確保することが、最も必要です。

 大綱は、ストックオプションへの課税軽減も明記しました。自社の株式をあらかじめ決められた価格で取得できるこの仕組みは大企業の役員報酬にも使われています。恩恵を受けるのは富裕層です。

 5年間で43兆円の大軍拡の財源を確保する増税は、開始時期を決めず、26年度以降に先送りしました。財源探しだけでなく、アジアの緊張を激化させる大軍拡そのものをやめるべきです。

消費税率の引き下げこそ

 大綱は、所得税・住民税の定額減税を家計支援として盛り込みました。1回限りの1人4万円の減税です。大幅に下がった実質賃金や減らされた年金を補う額ではありません。物価を下げる上で最も効果があるのが消費税減税です。岸田文雄首相は検討すらしないと公言しています。

 いま大問題になっている政治資金パーティーは形を変えた企業・団体献金です。大企業からの献金に頼る自民党では財界言いなりの政治を正すことができません。


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