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2023年12月10日(日)

きょうの潮流

 ヒトツバタゴ。モクセイ科の木で、5月ごろに白い花を咲かせます。別名ナンジャモンジャ。環境省がレッドリストに登録する絶滅危惧類です▼その貴重な希少種の存続が危ぶまれています。東京・明治神宮外苑の再開発で3000本の樹木を伐採する計画に、3代にわたって200年以上、命をつないできたヒトツバタゴも含まれています▼江戸期から旧青山三筋町二丁目萩原三之助の邸内にあり通行人に愛されるも名前を知られていないため“ナンジャモンジャ”と呼ばれたと。練兵場開設の際にも現地保存され、永井荷風の随筆集『日和下駄』に「都下の樹木にして…なお有名なるは青山練兵場内のナンジャモンジャの木」と登場するほど▼1924年には天然記念物に指定。樹齢による枯れ死の危機を乗り越え、丁寧に保存されてきました。いまでは外苑の公式HPが「小さなプロペラ型の花が咲き乱れる様は圧巻」ですと咲き頃を紹介するまでに親しまれています▼現在、絵画館前に生息する3代目の木は保存予定ですが、秩父宮ラグビー場の横にあるヒトツバタゴは伐採。建国記念文庫の森にある樹齢百年を超える樹木帯は、移植、保存の双方で生育が困難視されています▼“樹齢は確定できない”とする再開発事業者の調査報告にたいし、都市環境学者は「歴史的樹木の検討を欠いている」と計画の欠陥を指摘。「100年以上愛され受け継がれてきた木を私たちの世代で終わらせるのは無責任」と。切られた木はもう元に戻りません。


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