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2023年12月7日(木)

主張

ガザ地上侵攻拡大

ジェノサイド断じて許されぬ

 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの攻撃を再開し、民間人の犠牲が急増しています。イスラエルは住民に地区北部からの退避を強要しながら、南部への攻撃も強め、主要都市ハンユニスに地上部隊を侵攻させました。住民はどこにも逃げ場がない状況に追い込まれています。国連によると、ガザの人口の8割にあたる約180万人が避難を余儀なくされています。ジェノサイド条約(集団殺害罪の防止および処罰に関する条約)が固く禁じている集団殺害を絶対に許してはなりません。

違法を重ねるイスラエル

 イスラエル軍と、イスラム組織ハマスとの戦闘が激化した10月7日以降の2カ月で、パレスチナ側の死者は1万6000人を超えました。イスラエル側の死者の10倍以上です。ガザの死者のうち子どもは7000人以上です。

 ジェノサイドは、民族、人種などの集団の抹殺を狙って殺害したり、危害を加えたりする行為です。ガザ地区ではすでに多くのパレスチナ人が殺され、全員が命を脅かされています。ジェノサイドが現実の危険として迫っています。

 イスラエルは、ハマスの攻撃からの「自衛」を主張していますが、国際法を何重にも踏みにじる蛮行は正当化できません。文民への武力攻撃は戦時国際法のジュネーブ諸条約などで禁じられています。病院、学校や難民キャンプへの攻撃は明白な違法行為です。

 ガザ地区は1967年の第3次中東戦争でイスラエル軍が占領した地域の一つです。2005年に軍を撤退させたものの、イスラエルは包囲を続けています。全占領地からの撤退を求めた国連安全保障理事会決議も、イスラエルは受け入れていません。占領地であることに変わりはありません。

 占領国には、ジュネーブ第4条約(文民保護条約)で住民保護が義務づけられています。食料や医薬品の十分な供給、子どもや妊娠中の女性の保護も占領国の責務です。イスラエルはこれらを、ことごとく蹂躙(じゅうりん)しています。

 同条約は、占領地の住民を他国に追放することを、いかなる理由でも禁止しています。ガザ地区全域に攻撃を拡大して住民を追い出すことは重大な戦争犯罪です。イスラエルのネタニヤフ首相は戦闘終結後、ガザに軍を駐留させて支配することまで公言しています。

 イスラエルはガザ攻撃を直ちに中止しなければなりません。イスラエルとハマスは即時停戦のための交渉のテーブルにつくべきです。少なくとも、人道的休戦を求めた10月27日の国連総会決議を順守した行動をとる必要があります。

国際社会の行動が決定的

 岸田文雄首相は、イスラエルによる数々の国際法違反を批判せず、即時停戦も求めません。「事実関係を十分把握できないから法的な評価をしない」「停戦が一朝一夕に成ることは期待できない」と無責任な答弁を国会で繰り返しています。

 日本政府は、米国が支援するイスラエルに物を言えない、情けない態度を改め、病院攻撃など国際法違反の行為をやめるよう求めるべきです。

 ガザでは刻一刻と失われる命が増えています。「イスラエルはガザ攻撃をやめよ」「即時停戦を」の声を国際社会でどれだけ広げられるかが決定的です。


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