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2023年12月5日(火)

主張

COP28と日本

見せかけでなく行動を改めよ

 アラブ首長国連邦のドバイで開かれている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は、深刻化する気候危機をいかに食い止めるかが差し迫った焦点です。各国が提示した温室効果ガスの排出削減目標を全部合わせても、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1・5度以内に抑えるパリ協定の目標を達成できません。世界の排出量の4割を占める米国、中国の責任とともに、対策強化に後ろ向きな日本政府の姿勢が厳しく問われています。

期限切り石炭火力廃止を

 会議が開幕した11月30日、世界気象機関(WMO)は、2023年の世界の気温上昇は産業革命前比で約1・4度になると発表しました。世界中で熱波、干ばつ、巨大な暴風雨が頻発し、異常気象が異常と言えないほどです。

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書は、25年までに排出を減少に転じさせ、35年の排出量を19年比で60%削減する必要があると訴えています。

 COP28では取り組みの進展状況を評価する「グローバル・ストックテイク」が初めて行われます。それを踏まえて各国が、削減目標の上積みをはじめ、対策強化に乗り出すことが喫緊の課題です。

 首脳級会合での演説で岸田文雄首相は「30年までの行動が決定的に重要」と述べ、世界で再生可能エネルギーの設備容量を3倍化する目標に賛同しました。しかし実行がまったく伴いません。

 1・5度目標の達成には石炭火力発電の廃止が欠かせません。日本は主要7カ国(G7)の中で唯一、石炭火力の撤退期限を示さず、岸田政権は延命を図っています。

 首相は演説で石炭火力について「各国の事情に応じた」取り組みを主張し、アンモニアとの混焼技術の開発などで今後も続けることを表明しました。アジア諸国にも技術援助を行い世界の脱炭素化を妨げようとしています。日本は期限を決めて石炭火力を廃止しなければなりません。

 「グリーンウォッシュ」(見せかけの環境対策)といわれる日本の姿勢はCOPのたびに批判を浴びています。環境NGOが脱化石燃料に消極的な国に贈る「化石賞」を、毎回のように日本が受賞しているのは当然です。

 残された時間は多くありません。日本は30年までの二酸化炭素(CO2)削減目標を10年比5~6割に引き上げるべきです。

 エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば達成できます。確立済みの技術を活用した具体的戦略、排出量の多い企業との協定に踏み出すことが急務です。

原発3倍宣言許されない

 「50年までに世界の原発の発電容量を3倍にする」との米国などの宣言に日本が加わったことは重大な誤りです。東京電力福島第1原発事故から何も教訓を学んでいません。

 原発は、いったん事故が起きれば取り返しがつかない異質の危険を持っています。巨額の国民負担をはじめコストの点でも最悪です。「核のゴミ」も増やし続けます。原発に依存することによって再エネの普及の障害となります。

 原発頼みを直ちにやめ、脱炭素・原発ゼロを実現することこそ日本の国際的責務です。


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