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2023年12月4日(月)

主張

第2回締約国会議

情勢切り開く核兵器禁止条約

 ニューヨークの国連本部で11月27日から開かれていた核兵器禁止条約第2回締約国会議は1日、政治宣言や活動方針などを採択して閉幕しました。締約国会議は同条約の運用を促進するために2年に1度開かれます。今回は、ロシアやイスラエルが核兵器使用の脅迫を行い、他の核保有国も核戦力の維持・強化を図るなど、重大な逆行のもとで開かれました。それだけに、締約国会議が核兵器廃絶への力強い決意を示したことは大きな意義があります。

高まる実効性と規範力

 全会一致で採択された政治宣言は「核リスクの増大と危険な核抑止の永続化を傍観」しないと述べ、「現在および将来の世代のために、核兵器のない世界を実現するために不断に努力する」と表明しました。赤十字国際委員会の代表は「禁止条約は最も暗い時代であっても前進は可能だということを証明している」と発言しました。核兵器廃絶を願う人々に希望と勇気を与えた会議と言えるでしょう。

 政治宣言は、核兵器の使用と、それによる威嚇は国連憲章を含む国際法違反であるとして、明示的であれ暗示的であれ、核兵器によるいかなる威嚇も「明確に非難」しました。これは今日の情勢に照らして特に重要です。ロシアへの姿勢に差はあっても参加国は一致し、緊迫感をもって核使用・威嚇の違法性を訴えました。禁止条約は世界の反核世論と結んで、核保有国の手をきつく縛っています。

 多くの参加国が、核兵器固執の論拠とされている「核抑止」の危険と矛盾を指摘し、その脱却が急務だと訴えました。それに向けて、核兵器が破滅的な非人道的結末をもたらすことへの認識を広げることが不可欠です。今回の会議でも、被爆者や核実験被害者が積極的な役割を果たしています。

 2025年の次回会議までに新たな科学的知見も踏まえて「核抑止」の危険を明らかにし、「核抑止に基づく安全保障概念に挑戦」する報告書を、被害者や専門家も含めて議論・作成することになったことは重要です。

 条約の条文に基づく活動も着実に進んでいます。被害者支援と環境修復について定めた第6条と第7条に関して、締約国による支援や修復の計画策定、実行、そのための国際協力などが確認されました。被爆者の苦しみが続き、多くの人が救済されていないだけに、待ったなしの課題です。被害者支援と環境修復を財政的に援助する「国際信託基金」の設立に向けた指針づくりも決定されました。

 禁止条約は国際法としての実効性・規範力を高めています。

日本政府は参加決断せよ

 条約に参加していない国も6条と7条に基づく活動には協力できるはずです。締約国会議にオブザーバー参加したドイツは、これらの活動に関わっていく手段を模索していると発言しました。唯一の戦争被爆国の日本が協力するのか、拒むのか、姿勢が問われます。

 米国の同盟国も含め35カ国がオブザーバーとして会議に出席したにもかかわらず、日本政府がかたくなに参加に応じず、対話を拒否することに道理はありません。会議でも日本の姿勢に不信の声が上がりました。岸田文雄政権は恥ずべき態度を改め、「核抑止力」論の呪縛を断ち切って、一刻も早く禁止条約に参加すべきです。


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