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2023年12月4日(月)

テスラとたたかうスウェーデンの労組

労働協約拒否にスト

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 【ベルリン=吉本博美】イーロン・マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める米国の電気自動車大手テスラ。欧州各地に拠点を広げる中で、従業員の働かせ方が問題となっています。北欧スウェーデンでは、低賃金や待遇の是正を目指して従業員らがストライキでテスラに立ち向かっています。

 伝統的に労働組合が強いスウェーデンでは、約9割の人々が企業側と従業員の間で合意した労働協約のもと、安定的な賃金や待遇で働いています。

 ところが、テスラはスウェーデンの従業員との労働協約を拒否し続けています。従業員たちは抗議を示そうと11月上旬、同国の港湾都市マルメにテスラの電気自動車を運ぶ大型船が寄港した際、自動車の搬入を阻止する運動を開始しました。

 運動の発端となったのは、テスラが自動車整備士130人との労働協約を拒否したことでした。

 ストライキ中の職場を、他の職場の従業員が支援する通称「共感ストライキ」が合法のスウェーデン。テスラに自国の労働基準を守らせようと湾港作業員や運送業者、塗装事業者と職種を超えてストが拡大しました。

 最大手のタクシー会社はテスラ従業員のスト期間中は同社製自動車の新規購入を中断すると宣言しています。

 テスラ従業員が加盟する金属労組「IFメタル」のペターソン広報担当は、テスラの電気自動車が環境に優しい社会づくりに重要な役割を果たしていると認めつつ「スウェーデン国内の他企業と同じように、労働市場の基本的原則を尊重すべきだ」と指摘しています。

 テスラと従業員間のたたかいは継続中。IFメタルに加盟する従業員は130%の給与保障を同労組から受けながら、11月からストを断続的に続けています。テスラはストに対する訴訟を辞さないとしています。

 同労組のニルソン書記長は英紙フィナンシャル・タイムズに対し「もしテスラが労働協約なしで事業を展開できるなら他の企業も追随する」と述べ、世界でも評価の高い労働環境「スウェーデンモデル」が崩れるかもしれないと、危機感を示しています。

 スウェーデンではテスラのほか、音楽配信サービス「スポティファイ」やインターネット通販大手アマゾンも従業員との労働協約を拒んでいます。

 ニルソン氏は、テスラの従業員たちが労働協約に基づく公平な働き方を獲得するまで「私たちは長いたたかいを続けていく」と述べています。


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