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2023年12月2日(土)

きょうの潮流

 身寄りなく生活保護を利用する人。透析が必要な人。どんな患者でも受け入れると評判だった滝山病院(東京都八王子市)。人権侵害だけでなく、精神障害者の入院長期化も問題でした▼精神疾患のある入院患者は全国に26万人。うち1年以上の長期入院患者は約16万人。その4万4千人余は10年以上にも及びます。OECD加盟36カ国の精神病床数の約4割を日本が占めているというデータも▼世界的に遅れていると指摘される日本の精神科医療政策。背景に、医師や看護師の配置を一般病床より少なくてよいとする「精神科特例」があります。1950年代に国策で精神病床を増やそうと定めました▼増えたのは民間病院。医師・看護師の配置基準が緩い分、診療報酬は一般病床より低く設定されています。そのため病院は入院病床の利用率を高めようとし、患者を社会から排除する差別的風潮もあって、長期入院患者が増えることに▼一方、長期入院の患者を地域で暮らせるよう支援しながら病床数を減らした精神科病院も。「未来の風せいわ病院」(盛岡市)は、7年間で198人を退院させ、113床削減しました。経営状況は厳しいと理事長の智田文徳さん。「診療報酬の見直しを国や社会に働きかけなければ」と呼びかけます▼差別的な「精神科特例」はいまも重い壁になっています。精神疾患のある人が人間らしく生きる権利を確立することは、社会の責務です。患者の視点から医療や看護ができるような診療報酬改定が求められます。


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