しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年11月29日(水)

論戦ハイライト

岸田首相の無責任ぶり浮きぼり

田村副委員長の質問 参院予算委

 28日の参院予算委員会で質問に立った日本共産党の田村智子副委員長。イスラエル・パレスチナ紛争の即時停戦や、人件費をコストカットしてきた経済政策の抜本転換、自民党5派閥の政治資金問題の徹底解明を求めました。岸田文雄首相は田村氏の提案や追及に正面から答えず、無責任な答弁に終始しました。

イスラエル

ガザ攻撃止めよ 主張を

首相“以前と事案性格違う”

写真

(写真)岸田首相らに質問する田村智子副委員長(右端)=28日、参院予算委

 イスラエルによるガザ攻撃は、戦闘中断が2日間延長されたものの、極めて緊迫した事態となっています。田村氏は「戦闘中断を停戦にと、いま強く求めるべきだ」と主張しました。

 岸田首相は「停戦が一朝一夕になるとは期待できない」としつつ、「人道的休止をできるだけ長期なものにすることによって、事態の鎮静化につなげていく外交努力を続けていきたい」と述べました。

 田村氏は、国連安全保障理事会が22日に国連機関から受けた報告では、ガザで殺害された人の7割近くが女性と子どもだと指摘。次のように迫りました。

 田村 なぜ国際法違反だと批判しないのか。

 上川陽子外相 個別具体的な事情を十分に把握しているわけではないから、確定的な法的評価は差し控える。

 田村 「国際法違反」と言えないのなら、「国際法を守れ」と言うことにどういう意味があるのか。

 田村氏は「問われているのは国連憲章と国際法を守れという一貫した立場に立つのかどうかだ」と述べ、イスラエルが国際法違反の攻撃を宣言していることに沈黙する岸田首相の態度を厳しく批判しました。

 さらに田村氏は、1973年の二階堂進官房長官(当時)の中東問題に関する談話(表①)を示し、日本政府が、歴史的にパレスチナ人民を殺害・追放し土地を奪ってきたイスラエルの行為を許されないものと明言していたと指摘し、次のように追及しました。

 田村 73年の時のように毅然(きぜん)とした姿勢で、イスラエルに攻撃をやめなさいと直接言うべきだ。

 首相 当時とは事案の性格、関係者の意図は全く異なっている。

 田村氏は、第2次安倍政権以降、ネタニヤフ首相と急接近し、戦争犯罪をやめろと言えない政府になってしまったことは「あまりに情けない」と批判。「ガザが『子どもの墓場』になることに沈黙することは許されない」「『ジェノサイドを許すな』『即時停戦を』と求めることが必要だ」と訴えました。

表①

「中東問題に関する官房長官談話」(抜粋) 1973年11月22日

2 わが国政府は,中東紛争解決のために下記の諸原則が守られなければならないと考える。

(1)武力による領土の獲得及び占領の許されざること。

(2)1967年戦争の全占領地からのイスラエル兵力の撤退が行なわれること。

(3)域内のすべての国の領土の保全と安全が尊重されねばならず,このための保障措置がとられるべきこと。

(4)中東における公正,かつ,永続的平和実現に当ってパレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が承認され,尊重されること。

3 わが国政府は,上記の諸原則にしたがって,公正,かつ,永続的和平達成のためにあらゆる可能な努力が傾けられるよう要望する。我が国政府としても,もとよりできる限りの寄与を行なう所存である。

 わが国政府はイスラエルによるアラブ領土の占領継続を遺憾とし,イスラエルが上記の諸原則にしたがうことを強く要望する。わが国政府としては,引続き中東情勢を重大な関心をもつて見守るとともに,今後の諸情勢の推移如何によってはイスラエルに対する政策を再検討せざるを得ないであろう。

外交青書1974年版(18号)下巻(資料編)P116から

経済

消費税減税検討求める

首相 従来の説明で検討拒む

 「岸田政権の経済対策は、どういう現状認識に基づくものか」―。田村氏は、岸田首相の経済対策を真正面からただし、その転換を迫りました。

 ところが岸田首相は、30年ぶりの賃上げなどの取り組みで「ようやく明るい兆しが出てきた」と述べ、これまでの経済政策の説明を繰り返すばかり。田村氏は、企業の人件費の総額である実質雇用者報酬が今年7~9月期は、コロナ危機の2020年4~6月期よりも落ち込んでいることを挙げ、「くらしに対する危機感において、国民と岸田内閣との間に大きなギャップがある」と批判しました。

 その上で田村氏は、時事通信の世論調査で消費税減税に「賛成」が約6割、自民支持層でも半数近くが「賛成」だとして次のように迫りました。

 田村 これまでにない世論の表れ、国民の悲鳴の表れだ。この声にこたえて消費税減税を検討すべきだ。

 首相 給付と減税の組み合わせ、官民の連携が重要だ。

 従来の説明を繰り返して検討を拒否する岸田首相。田村氏は「その説明を再三聞かされた上での、世論調査の結果だ」「1回こっきりの給付金、1回こっきりの減税ではだめだ」と重ねて消費税減税の検討を求めました。

 さらに田村氏は「賃上げも、これまでの延長線の政策では物価高騰に到底追い付かない」と強調。日弁連のシンポジウムに参加した自民党の務台俊介衆院議員が、中小企業への賃上げ支援の財源について「大企業の内部留保が500兆円近くある。それを活用したらどうか」と発言したことを紹介。共産党の内部留保への一部課税の提案が自民党内でも議論されているとして、次のように指摘しました。

 田村 大企業は利益を増やし、ただただ内部留保を膨張させる。これが健全な経済の姿なのか。

 首相 賃上げに向けて好循環をつくることが、内部留保の活用につながる。

 田村氏は「風が吹いたらおけ屋がもうかるような話だ」と批判。「内部留保を労働者の賃金へと還元する仕組みをつくることが政治の責任だ」と重ねて強調しました。

パー券

ウラ金づくり疑惑濃厚

首相「各団体が説明をして」

表②

表②

 田村氏は、自民党5派閥の政治資金パーティー収入約4000万円を政治資金収支報告書に記載していなかった問題について、「しんぶん赤旗」日曜版の報道を示して追及。「『赤旗』の指摘直後に訂正したのが一目瞭然だ。おもてに出なければ隠すつもりだったのか」と迫りました。(表②)

 田村氏は、「赤旗」報道は政治家の政治資金収支報告書と政治団体の政治資金収支報告書を照らし合わせた結果で、企業の購入分は分からないと指摘。「企業分を含め、パーティー券収入の全体の調査を指示したのか」とただしました。しかし岸田首相は「記載漏れを指摘され、(自民党)幹事長に指示をした」と言うだけ。田村氏は「特捜検事も務めた元自民党衆院議員らからも“収入を少なく記載して裏金になっている”との指摘もある」と述べ、次のように迫りました。

 田村 調査もせず、なぜ裏金がないと言えるのか。

 首相 指摘を受け、訂正した範囲内で裏金はない。各政治団体が説明してもらいたい。

 田村 指摘がなければいくらでも隠せる。

 何を聞いても調査をするとは言えない岸田首相。田村氏は「説明の前に調査だ」と重ねて強調しました。

 さらに、田村氏は、1994年の政治資金規正法改定で企業・団体献金は廃止の方向に踏み切るとしたものの、政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入の二つの抜け道が温存されたと指摘。そのため、94年当時はパーティー券収入が企業・団体献金の4分の1だったのが、2019年には逆転して企業・団体献金の2倍に膨らんだと指摘しました。

 田村 岸田首相の政治資金パーティーでは収入に対する支出が1割にすぎない。企業はどんな対価性を期待するのか。

 首相 政治資金パーティーのありようについてはご指摘の通りだ。経費の割合について議員立法で議論することが重要。

 岸田首相は、この追及にまともに答えられません。田村氏は「パーティー券は事実上の企業・団体献金だ。見返りは企業活動での利益しかない」と指摘。パーティー券購入の禁止を含む全面的な企業・団体献金禁止を求めました。


pageup