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2023年11月29日(水)

主張

半導体補助金

特定企業に巨額の国費は異常

 岸田文雄政権が開会中の臨時国会に提出した2023年度補正予算案は総額13・1兆円のうち、半導体企業への補助金が約2兆円規模にも上ります。「経済安全保障」を口実に、莫大(ばくだい)な国費が一握りの大企業の手に渡ります。特定の企業に、歯止めなく、巨額の税金を注ぎ込むのは、あまりに異常な予算の使い方です。

「安保」口実に歯止めなく

 熊本県で進む、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設には、これまで4760億円の国の補助金投入が決まっています。岸田政権は第2工場建設も支援する方針です。今後、半導体関連の政府基金の積み増しにより、補助金がさらに投入されるとみられています。

 現地では大規模開発が過熱し、豊かな地下水の保全や農業、子育てなど多様な問題で不安や批判の声が出されています。

 北海道で工場建設が進む先端半導体企業「ラピダス」は、トヨタ自動車など大企業が出資し、官民共同で最先端半導体の生産が目指されています。地元経済界の動きが活発化しています。

 北海道経済連合会と北海道商工会議所連合会は6月、メガバンクや金融庁、経済産業省などと共に産官学の連携団体「チーム札幌・北海道」を結成しました。「半導体生産拠点の誘致」や「金融特区の設立」を掲げ、そのために「世界レベルの規制緩和や税制優遇措置等」を求めました。参加企業からは「北海道IR」(カジノを中核とした統合型リゾート)を求める声すら出ています。

 ラピダスの東哲郎会長が、自社製品で米国の軍需に貢献することを公言していることは重大です。ラピダスは米IT大手IBMの技術提供を受けており、その事業について日本政府は日米の「同盟国間の技術連携」(経済産業省)と位置付けています。

 現地では、地下水量の低下や汚染物質の懸念などが浮上しています。高まる住民の不安が、「経済安全保障」の掛け声で押しつぶされようとしています。

 口実とされているのが、米中の技術覇権争いです。自民党と財界は米国と一体に、中国への対抗を強めています。

 自民党は21年に「半導体戦略推進議員連盟」を結成し、半導体について「安全保障にも直結する死活的に重要な戦略基盤技術である」と位置づけ、育成に乗り出しています。

 経団連は、22年10月に発表した提言の中で半導体が「米中の技術覇権争いの中でも、経済安全保障に直結する戦略物資とされてきた」とし、「研究開発投資・補助金・減税等の政策を打ち出し、企業の積極的な投資拡大を促すことが重要である」と強調しました。

ゆがんだ使い方の改革を

 国の税・財政運営は、暮らしを支え格差を是正することが中心でなければなりません。半導体補助金は特定大企業への法外な国費投入です。税財政本来のあり方に反する予算の使い方です。

 自民党・公明党政権は、消費税率を5%から8%、10%へ引き上げ、総額14兆円もの大増税を行う一方、消費税の増税分を富裕層・大企業減税の穴埋めに使ってきました。物価高に悩む国民をよそに、税金を大企業にばらまく、ゆがんだ政治の抜本的転換が必要です。


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