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2023年11月25日(土)

主張

政治資金収支報告

相次ぐ疑惑 脱法違法を許すな

 相次ぐ「政治とカネ」問題で岸田文雄政権への不信が高まる中で、2022年の政治資金収支報告書(総務相提出分)が公表されました。政治資金規正法は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる」ため、政治資金の収支は疑惑を招かないよう「公明正大」に行うことを定めています。いま国会では、自民党の主要5派閥の政治資金パーティー収入(18~21年)で約4000万円もの不記載があったことが大問題になっています。悪質な脱法・違法行為を徹底的に解明するとともに、金権政治の根を断つことが必要です。

パーティー収入で不記載

 22年の収支報告書によると、政治資金パーティーを開いた政治団体数は21年より増加しました。収入総額も34・5%増で80億円を超えました。自民党の5派閥では、麻生派が2億3511万円、二階派1億8845万円、岸田派1億8329万円、茂木派1億8142万円、安倍派9480万円と上位に位置しています。派閥がパーティー収入を頼りにしていることを浮き彫りにしています。

 政治資金規正法は1回のパーティーで20万円超のパーティー券購入者の名前を報告書に記載することを義務付けています。ところが自民党の5派閥は18~21年に開いたパーティーで、20万円超の大口購入者の名前が記載されていないことが発覚しました。本紙日曜版が昨年11月6日号で報じ、連続追及しています。上脇博之神戸学院大教授が刑事告発し、東京地検特捜部が捜査しています。

 国会で追及された岸田首相は不記載を認め、茂木敏充自民党幹事長に派閥ごとに説明するよう指示したと答えました。各派閥は「事務的ミス」などと弁明しますが、購入した団体と派閥で事前に金額や枚数の確認をしていたとの証言もあります。報告書に記載できない裏金づくりの疑いも濃厚です。

 加藤鮎子こども政策担当相も21年のパーティー収入を巡る不透明な会計処理で刑事告発されています。自見英子地方創生相もパーティー券購入を巡る疑惑が指摘されています。

 政治資金パーティー疑惑が次々明らかになるのは、寄付と比べ透明度が低く、名前や金額が明らかにされにくいためです。主要5派閥で大口購入者を特定しにくくする手法がまん延していたことは、構造的問題です。

 政治資金パーティーは、費用をかけずに巨額な収入を得ることができる手段にもなっています。22年の報告書でみても麻生派は開催費用2042万円で2億3000万円以上の収入を得ています。

 企業・団体が支払うパーティー券代は、形を変えた企業・団体献金です。政治家個人に対する企業・団体献金は禁止されているにもかかわらず、「政党支部」を隠れみのにした政治家個人への献金も事実上行われています。抜け道をなくすことが不可欠です。

企業献金は腐敗の温床

 自民党側への献金の大手は自動車や電機などの大企業です。営利が目的の企業が献金するのは見返りを求めるからです。「カネの力」で政治をゆがめることを許さないために、企業・団体献金はパーティー券購入も含め全面禁止すべきです。税金頼みで政党の劣化を招いている政党助成金の廃止も一体で進めることが重要です。


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