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2023年11月18日(土)

「人権なんてない」 ガザ痛切

「傍観者にならないで」

現地で看護指導 日赤職員が帰国報告

 「現地スタッフを残してガザを出ていいのか、逃げたい思いと半分半分だった」―今月パレスチナ自治区ガザから1日にエジプトに逃れ、日本に帰国した、日本赤十字職員で看護師の川瀨佐知子さん。日本記者クラブで会見し、現地の現状を報告しました。


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(写真)ガザ・アルクッズ病院での活動と避難の過程、現地の人の声を報告する川瀨さん(右)と、日本赤十字社の佐藤さん=17日、都内

 川瀨さんは今年7月から12月までの予定でガザ北部にあるアルクッズ病院で看護の実践指導をしていました。

 同病院はガザ市内で2番目の規模の病院。イスラエルによる空爆で負傷者が増えるなか、安全な場所を求めて市民が詰めかけ、足の踏み場もないほどになったといいます。

 空爆が日に日にひどくなり、「病院も攻撃の的となり、天井が抜け落ちたところがある」など、危険が増していきました。とくに夜中がひどく、「朝がやってくると、きょうは生き延びたけど、明日はわからない」という状況だったと振り返ります。

 10月13日、南部へ退避するよう通知が出て、南部の都市ラファに病院スタッフと避難しました。「残してきた患者のためにアルクッズ病院に通うスタッフもいた」といいます。

 「精神的にも疲れていたけれど、人道支援活動を懸命におこなう仲間たちの姿に励まされた」と川瀨さん。南部でも避難民の支援を継続していました。しかし南部への攻撃も続き、安全確保が難しくなり、11月1日エジプトへ出て帰国しました。

 川瀨さんは現地の看護師の仲間が投げかけた、「命の重みは同じはずなのに、世界中が自分たちを攻撃している。自分たちに人権なんてない。私たちは本当にミゼラブル(みじめで不幸)」との言葉を紹介。「今私ができることは現地の人たちの声を届けること。私ひとりの声は小さいかもしれないけれど、みなさん一人ひとりの思いを集め大きくしていきたい。歴史的悲劇の傍観者になってはいけない」と訴えました。

 日本赤十字社事業局国際部次長の佐藤展章(のぶあき)さんは民間人への攻撃、とくに医療施設や医療従事者などへの攻撃を禁止している国際人道法を守ることを求めました。


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