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2023年11月17日(金)

きょうの潮流

 わずか3時間ほどの睡眠、朝から深夜に及んだ長時間労働。宝塚歌劇団の女性が死亡した問題は、上級生からのパワハラとともに、異常な働かせ方があったと指摘されています▼外部弁護士による調査報告書もパワハラの事実は認めなかったものの、過労死ラインをこえる時間外労働があったとしています。女性に強い心理的負荷がかかっていた可能性を否定できないとも▼苛烈なスケジュールが追い詰めたことは劇団の理事長も認めています。つらい日々に笑顔は消え、25歳の若さで閉ざされた人生。遺族は「娘の疲れ果てた姿が脳裏から離れません」と、後悔にさいなまれています▼10年前に過労死したNHKの佐戸未和記者の両親も、やりきれなさを抱え続けてきました。わが子を救えなかった無念。その思いを胸に「過労死ゼロ」の社会にむけて足を踏み出しています▼過労死防止法の成立からまもなく10年。この間、働き方改革を求める声によって時間外労働の上限規制などが設けられてきましたが、いまだに悲劇は後を絶ちません。過重労働による精神障害の労災認定も増加し、先日もコロナ拡大で業務が増大した消毒会社社員の死亡が過労死と認定されました▼「しごとより、いのち」。厚労省は11月を過労死防止の啓発月間に定めていますが、ポスターに掲げた「すべての人が健康で、毎日イキイキと働き続けられる社会」をつくることこそ国の役割ではないか。それは遺族をはじめ、苦悩を抱えながら働く人びとの切なる願いでも。


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