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2023年11月16日(木)

宝塚劇団員死亡 パワハラ認めず不適切

遺族側 調査報告を批判

時間外労働認定「過少」 異常な縦の関係検証を

 宝塚歌劇団の劇団員(25)が9月に死亡した問題について14日、劇団側が外部弁護士による調査報告書を発表したことを受け、遺族側弁護士が厚生労働省で会見し、見解を発表しました。報告書が過密スケジュール改善など一部適切な提言をしているものの、上級生によるパワハラを否定し、ハラスメントをなくすための適切な提言がなく、全体として適切ではないと批判しました。


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(写真)会見する遺族代理人の川人博弁護士(左)と井上耕史弁護士=14日、厚労省

 報告書は、長時間労働(活動)については当事者の死亡前1カ月で118時間以上の「過労死ライン」を超える時間外労働を認定。遺族側は「適切な内容を含んでいる」と一定評価していますが、「実態よりも過少だ」と指摘しています。遺族側の算定では250時間を超える時間外労働がありました。

 報告書がパワハラ問題について、上級生がヘアアイロンでやけどをさせたという事実を認定せず、9月下旬ころの上級生の叱責も業務上必要な範囲だったと評価しているのは不当だと問題視。下級生のまとめ役がわずか2人で、責任者となった当事者が多忙な状況をつくった劇団側の問題点を考慮していないと批判しました。

 川人博弁護士は、調査報告書について「日弁連の第三者委員会ガイドラインに基づくものではなく、会社依頼の調査の域を出ない」と指摘。「問題の背景には上級生、下級生の異常なまでの縦の関係がある。時代は変わっており、どういう関係がふさわしいか、悲劇的な事件を受け検証すべきだ」と述べました。

 遺族側は、報告書に対する意見書を劇団に提出し、11月末までに面談交渉を行うとしています。


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