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2023年11月7日(火)

杉田水脈議員 くり返す差別発言

政府の歴史認識が後押し

 自民党の杉田水脈衆院議員による差別発言が止まりません。

 杉田氏は、2016年2月の国連女性差別撤廃委員会の会議に出席した際、自身のブログに「チマ・チョゴリやアイヌ民族のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」と投稿。これに、会議に参加したアイヌ民族と在日コリアンの女性が人権救済を申し立て、9月に札幌、10月に大阪法務局が杉田氏の「人権侵犯」を認定しました。

 認定について取材団から問われた杉田氏は、「(投稿は)すでに削除して謝罪している」と答えています。しかし10月27日、自らのユーチューブチャンネルに動画を投稿し、「逆差別、エセ、それに伴う利権、差別を利用して日本を貶(おとし)める人たちがいる。(私は)差別がなくなっては困る人たちとたたかってきた」と述べ、2日にも『正論』のユーチューブチャンネルで「(過去の発言を取り上げて差別主義者だと言われ)それに耐えられなくなって辞職する人がいたら、大変なことだと思う。言論弾圧は許してはいけない」と発言。謝罪が口先だけのものだったことは明らかです。

 杉田氏が出席した16年の女性差別撤廃委員会の会議は、安倍政権(当時)の日本政府代表として出席した杉山晋輔外務審議官が、委員会の対日審査で「慰安婦問題に関する調査を行ったが、『強制連行』を確認できるものはなかった」と発言した場です。これ以降、日本政府は杉山発言を政府見解としています。杉田氏は、この会議に「新しい歴史教科書をつくる会」など複数の右翼的団体が構成する「慰安婦の真実国民運動」のメンバーとして参加していました。

 日本学術振興会科学研究費(科研費)の助成を受けたフェミニズム研究を杉田氏が誹謗(ひぼう)・中傷したことで研究グループが提訴した「フェミ科研費裁判」。今年5月の控訴審判決で、杉田氏の発言の一部は「名誉毀損(きそん)にあたる」として原告が逆転勝訴しました。一方で判決は、杉田氏が「慰安婦」研究について「ねつ造」だと述べた件については、杉山発言を根拠に誹謗中傷にあたらないとしました。杉田氏の発言は、日本政府の歴史認識によって後押しされているといえます。

 自民党は、女性や性的マイノリティーへの差別発言をくり返して批判されてきた杉田氏を衆院比例中国ブロックの上位に据え、岸田政権でも総務政務官に任命(その後、事実上更迭)し、最近では党環境部会長代理などの要職に起用しています。同氏がくり返す差別発言や歴史修正主義的な発言は、少なくない同党関係者の主張を代弁するもので、その主張によって獲得できる票田と支持層があるからでしょう。

 杉田氏の議員としての資質、岸田政権と自民党の責任、そして人権感覚と歴史認識が問われています。

 (党学術・文化委員会事務局 朝岡晶子)


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