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2023年10月31日(火)

核のごみ 変動帯日本に 地層処分の適地ない

地球科学専門家ら 計画中止求め声明

300人余賛同

 地球科学が専門の研究・技術・教育に携わる人たちが30日、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の地層処分計画の中止と、開かれた検討機関の設置を求める声明を発表しました。同日、声明を呼びかけた赤井純治・新潟大学名誉教授らが国会内で会見しました。賛同者は300人余になるといいます。声明は今後、関連学会、政府などに送付します。

 核のごみの最終処分場の選定地をめぐっては、長崎県対馬市の市長が選定の第1段階である文献調査に応募しないと表明する一方、北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で調査を受け入れ、調査報告書を待つ段階です。

 赤井氏は、政府が地層処分と決めた経過をたどり「科学的議論にふたをして、地層処分ありきに進んだ。科学的議論に立ち返らなければ。趣旨に賛成の方をもっと広げたい」と述べました。

 声明は、日本列島が地殻活動の活発な世界最大級の変動帯におかれていると指摘。「今後10万年間にわたる地殻の変動による岩盤の脆弱(ぜいじゃく)性や深部地下水の状況を予測し、地震の影響を受けない安定した場所を具体的に選定することは、現状では不可能」と強調しています。

 その上で、日本学術会議が2012年に公表した「回答」を踏まえ、「科学的根拠に乏しい最終処分法は廃止し、地上での暫定保管を含む原発政策の見直しを視野に、地層処分ありきの政策を再検討すべきだ」として、中立で開かれた第三者機関設置などを提案しています。

 オンラインで参加した岡村聡・北海道教育大学名誉教授は「(地層処分は)将来世代に対して責任を持つことにはならない。安全面を第一に考えるのがわれわれの責任」と述べ、拙速な判断をすべきではないとしました。

 地層処分 原発の使用済み核燃料を再処理し、そこで発生する高レベル放射性廃液をガラスと混ぜて固化し、この固化体を300メートルより深い地中に埋める方針。人間環境から10万年程度の隔離が必要といわれます。


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