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2023年10月25日(水)

主張

沖縄の基地負担増

再び戦場にする準備をやめよ

 沖縄で米海兵隊の改編や大規模な日米共同訓練の実施、無人機の配備など過重な基地負担を一層増やす動きが相次いでいます。地元紙は「沖縄を戦場の『前線』にする準備が、あまりに急速にエスカレートしている」(琉球新報18日付)と懸念の声を上げています。

海兵沿岸連隊の発足

 米海兵隊は17日、沖縄に駐留する第12海兵連隊を改編し、「第12海兵沿岸連隊(MLR)」を11月15日付で発足させると発表しました。1月の日米外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で2025年までにMLRに改編するとしていた合意を早期に実施するものです。

 2千人規模のMLRは南西地域の離島などに分散展開し、周辺海域の中国軍の艦船などを攻撃する米海兵隊の「遠征前進基地作戦」(EABO)の中核部隊です。前出の琉球新報は「(MLRの)離島での訓練の実施などによって、沖縄の基地負担の増加につながる可能性」を指摘しています。

 実際、14日から31日までの予定で初めて九州・沖縄を中心に実施されている米海兵隊と陸上自衛隊の最大規模の共同訓練(レゾリュート・ドラゴン23)で、第12海兵連隊はMLRへの改編を想定しての訓練を行っています。

 重大なのは、訓練が島しょ部での陸自の「領域横断作戦」と米海兵隊のEABOを踏まえた共同対処力の強化を目的にしていることです。領域横断作戦とは、従来の陸、海、空の領域と宇宙、サイバー、電磁波の新領域での能力を融合させた軍事作戦とされます。

 陸自はホームページで、領域横断作戦とEABOの共通点として「作戦当初から戦域内に所在する『スタンド・イン・フォース』として、あらゆる領域からの攻撃に対して部隊を防護し、持久して作戦を遂行する」ことを挙げています。スタンド・イン・フォースとは、敵のミサイルなどの射程圏内にとどまり、たたかう部隊です。

 レゾリュート・ドラゴンでは陸自の輸送機V22オスプレイが沖縄県の自粛要請を無視して県内に初飛来し、負傷者の輸送訓練のため新石垣空港を使用しました。文字通り南西地域が戦場の「前線」になることを想定したものです。

 沖縄県の米空軍嘉手納基地(嘉手納町、北谷町、沖縄市)への無人偵察機MQ9(8機)の配備も大きな問題です。鹿児島県の海上自衛隊鹿屋基地(鹿屋市)に一時的に展開していた同機を無期限で嘉手納基地に配備するという計画です。

 鹿屋基地への同機の展開に当たっては数カ月かけて地元に説明したのに、嘉手納基地への配備については住民説明会もせず、県への説明の1週間後に1機目の飛来(13日)がありました。県は17日、強く抗議し、基地負担の軽減に逆行する部隊の増強は承服できないと防衛省に申し入れました。

一触即発の危険生む

 地元紙は、今年3月に黒海上空を飛行中の米軍のMQ9がロシア軍機と衝突し墜落したことを指摘し、「沖縄周辺でMQ9が中国軍機と衝突したらどうなるか。偶発的な衝突が一触即発の状況を生みかねない」(沖縄タイムス7日付)と述べています。基地負担増に加え、沖縄を再び戦場にする危険を高めるあらゆる動きに反対の声を上げていくことが必要です。


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