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2023年10月17日(火)

Dappi投稿 会社業務

220万円賠償・削除命令

東京地裁 「社長自身の可能性」

 匿名のツイッター(現X)アカウント「Dappi」の投稿で名誉を傷つけられたとして立憲民主党の参院議員2人が発信元のワンズクエスト社(東京)に損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、東京地裁でありました。新谷祐子裁判長は「投稿は会社の業務として、社長の指示の下、従業員あるいは社長によって行われた」と認めて、会社側に計220万円の支払いと問題とされた投稿の削除を命じました。


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(写真)X(旧ツイッター)の匿名アカウント「Dappi」のプロフィル

 訴えていたのは、小西洋之、杉尾秀哉の両参院議員です。Dappiは2020年10月に虚偽の新聞記事を引用し「1時間吊(つ)るしあげた翌日に自殺」と投稿。森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題で、両氏が近畿財務局職員を自死に追い込んだ印象を与える内容でした。

 判決は「投稿は原告らの名誉を毀損(きそん)するものであり、フォロワー数が約15万9300人に及んでおり、その社会的影響力は無視できない」としました。

 裁判で、ワンズ社側は「1人の従業員の私的なもの」と主張。社長と専務も自身の投稿を否定していました。またワンズ社側は、投稿者の基本給月110万円を懲戒処分で減給した証拠として、氏名を黒塗りした給与明細書を提出。氏名を明らかにするよう求めた裁判所の文書提出命令には従いませんでした。

 判決は「ニュース番組や国会中継などの動画をリアルタイムで視聴し、投稿に適する部分を的確に抜き出し、編集し、コメントを付す作業が必要で、相当の時間と集中力を要する」と指摘。ワンズ社での「業務時間の大半をもっぱら投稿のために充てていた」としました。「投稿は社長の指示の下、ワンズ社の業務として行われた」と認定しました。

 投稿者については「社長の可能性は相応にある」としました。判決では、原告側が求めていた謝罪広告の掲載を棄却しました。

 判決を受けて小西議員は「いったい何のために誰の金で、なぜ会社ぐるみでやったのか、それを隠すために裁判では説明を徹底拒否された。自民党とも取引関係があり、党本部の事務総長との親戚関係も報じられている。社長自身も自民党も疑わざるをえない」とコメントしました。

 杉尾議員は「意図的にフェイクニュースを流すことがビジネス化していると言われる現代において、判決はこうした傾向に歯止めをかける契機となりうる」と判決を評価しました。

 Dappiの投稿 「野党『ギャーギャー』」など野党を中傷した投稿は、ワンズ社が業務として組織的に投稿していたことが疑われています。2019年の開設以降、投稿件数は5000件超。1日平均6件で時間帯は平日の午前9時から午後10時に集中。土日の投稿はほとんどありません。連日の国会中継を見ていないと書けない内容が多く含まれます。21年1月の通常国会で午後2時にはじまった菅義偉首相(当時)の施政方針演説が2時30分すぎには動画つきで投稿されていました。こうした投稿についてワンズ社は、杉尾氏らによる発信者情報の開示請求で初めてわかったと説明しています。

Dappiをめぐる動き※取材をもとに作成
2019年6月 Dappiが投稿開始
21年4月 発信者情報の開示請求を受け、ワンズ社社長が投稿者を特定。Dappiの投稿止まらず。この間、自民党東京都連がワンズ社に2件計183万円の業務発注
9月 東京地裁が通信会社に開示を命じる。発信元がワンズ社の回線と判明
10月1日 この日を最後にDappiの投稿が止まる
10月6日 杉尾氏らワンズ社に損害賠償を求め東京地裁に提訴
12月 投稿した“社員”に10%の減給3カ月の懲戒処分。110万円が99万円に
23年6月 裁判の本人尋問で、投稿者は誰かを問われ、ワンズ社社長が証言拒否

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