2023年10月17日(火)
主張
非正規の待遇改善
権利守るルール 法制化が急務
非正規雇用の労働者は20年間で1・5倍に増え、今や労働者の4割を占めます。厚生労働省の調査で非正規の賃金は正社員の7割以下です。この格差が、日本を「賃金が上がらない国」にしてしまった最大の要因です。日本共産党は、経済の長期停滞と暮らしの困難を打開するための「経済再生プラン」で、非正規ワーカー待遇改善法の制定を提案しています。非正規の抜本的な待遇改善は、正規化を促進する力にもなります。
国際基準に基づく制度を
岸田文雄首相は「コストカット型経済」から転換すると言います。しかし、歴代の自民党政権が財界・大企業の言いなりになって賃金が上がらない構造をつくり上げたことへの反省はありません。
1999年に派遣労働が原則自由化されるなどして雇用のルールが次々に壊され、非正規雇用が拡大し続けました。労働法を、非正規で働く人たちの権利を守り、雇用主に責任を果たさせるものに改めなければなりません。
欧州諸国では非正規雇用の増大に際して「同一価値労働同一賃金」「均等待遇」など労働者保護を図る動きが強まっています。非正規ワーカー待遇改善法の提案は、欧州連合(EU)や国際労働機関(ILO)条約などで確立している国際基準を踏まえたものです。
雇用は、期間の定めのない直接雇用が大原則です。有期雇用や派遣は合理的理由がある場合の臨時的・一時的業務に限定するのが国際基準です。
有期や派遣に期間の制限を設け、超えた場合は正規雇用にすることを厳守させ、違法・脱法的な解雇・雇い止めは厳しく取り締まることが不可欠です。
非正規雇用の7割は女性であり、男女の賃金格差がなくならない要因になっています。企業ごとの男女の賃金格差公表が2022年に始まりました。正規・非正規の割合や雇用形態による賃金格差の公示も義務づけるべきです。
地方の非正規公務員は112万人を超え、多くが低賃金・不安定雇用です。待遇改善は国や自治体の責務です。時給を1500円以上に引き上げることが急務です。希望者が正職員になれる仕組みの整備と財政措置が必要です。
雇い主の指揮・命令で働いているのに、個人事業主の形をとっていることを理由に、労働者の権利を認められないことが横行しています。単発の仕事を請け負う食事配達などのギグワーカー、フリーの契約を結んで働く人、ウェブ上の仲介サービスを通じて仕事を請け負うクラウドワーカーも権利を守られなければなりません。
ギグワーカー、フリーも
労災補償の実現・拡充はギグワーカーやフリーランスの切実な要求です。保険料負担を含めて企業が労災に責任を負う仕組みが求められています。
ギグワーカー、フリーランス、クラウドワーカーに団結権、団体交渉権、ストライキ権を保障し、賃金の最低保障や休業手当などを制度化することも重要です。
飲食店やコンビニなどで交代制のシフトに入って働く労働者は、使用者による一方的な仕事のキャンセルで最悪の場合、無給になることがあります。賃金の最低保障や休業手当の支給を労働契約に明記させることをはじめ権利保護のルールが欠かせません。