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2023年10月8日(日)

主張

学術会議改革

開かれた協議の場で検討せよ

 日本学術会議会員の半数改選が行われ、10月から3年間の新しい期(第26期)が始まりました。2日の総会で新会長に選出された光石衛・東京大学名誉教授は、「前期執行部の姿勢を引き継ぎ、主張すべきは主張したい。任命拒否の6人についても、改めて任命を求めていく」と抱負を語りました。

なすべきは6人の任命

 今回の半数改選では、学術会議法に基づき、学術会議が選考した105人の会員候補を推薦し、岸田文雄首相が全員を任命しました。しかし、3年前の半数改選の際に、当時の菅義偉首相が任命拒否した6人の候補は依然として任命されず、違法状態が続いています。

 任命拒否は、学術会議への政府による露骨な人事介入であり、学術会議の独立性と学問の自由、民主主義に反する違法・違憲の暴挙です。何よりも政府がなすべきは6人をただちに任命し、それによって政府と学術会議との信頼関係を再構築することです。

 政府は「日本学術会議の見直し」に問題をすり替え、昨年12月には学術会議による会員候補の選考過程に介入する法改正を一方的に発表しました。これに反対する学術界のたたかいの広がりによって、政府は先の通常国会への法案提出を断念しました。しかし、「国から独立した法人とする案等を俎上(そじょう)に載せて議論し、早期に結論を得る」ことを閣議決定しました(6月16日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」)。自民党や財界の意向に沿って、学術会議を「国の機関」から切り離すことを狙ったものです。これを受けて内閣府特命担当大臣のもとに「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会」が設置され、すでに3回の議論を重ねています。

 この懇談会は、(1)学術会議は出席を求められるが懇談会構成員ではない(2)設置趣旨が6月の閣議決定を踏まえた「学術会議の組織形態」の検討にある(3)議事録を後日公表するが会議は非公開であるなどの重大な問題を持っています。

 学術会議は、4月18日の政府に対する勧告で「日本の学術体制全般にわたる包括的・抜本的な見直しを行うための開かれた協議の場」を求めました。科学者の代表機関である学術会議のあり方は、日本の学術体制全般の中で検討すべき課題だからです。

 例えば、政府の科学技術政策の司令塔とされる総合科学技術・イノベーション会議との関係をどう位置づけるのか、あるいは大学・研究機関などへの資金配分機関との関係をどう改革するのかなどは、学術会議のあり方と深く関わっています。そうした検討抜きに学術会議を安易に法人化すれば、学術会議が日本のアカデミーとして果たす機能を高めるどころか、後退させることになりかねません。

将来に禍根を残すな

 政府は、学術会議が「国民から理解され、信頼される存在であり続ける」ための見直しだと主張します。そうであるなら、学術会議のあり方を検討する懇談会は公開し、広く国民に開かれた場にすべきです。ましてや、政府が任命したわずか12人の懇談会構成員だけで決定し、国民に押しつけることは許されません。

 日本の学術の将来に禍根を残すことのないよう、学術会議が求めるような「開かれた協議の場」で検討することを強く求めます。


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