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2023年10月5日(木)

主張

空母母港化半世紀

世界に類例なき異常ただそう

 米海軍の航空母艦(空母)が1973年10月5日に横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港にするため入港してから、きょうで50年です。2008年9月25日に原子力空母が、原子力ではない通常動力型空母に代わり、同基地に初めて配備されてからも15年が過ぎました。73年に米空母の母港が海外に置かれたのは史上初めてでした。それから半世紀たった今も、横須賀は世界で唯一の米空母の海外母港という、異常な状態に置かれ続けています。

“殴り込み”の一大拠点

 米海軍は現在、空母を11隻保有しています。いずれも原子力空母です。うち1隻(艦名=ロナルド・レーガン)だけが横須賀を母港にしています。残り10隻はすべて、米本土に母港があります。

 原子力空母ロナルド・レーガンは、西太平洋とインド洋を管轄する米第7艦隊に所属しています。

 横須賀には、ロナルド・レーガンのほか、第7艦隊の旗艦ブルーリッジ(揚陸指揮艦)をはじめ、地上攻撃用の長距離ミサイル(トマホーク)や弾道ミサイル迎撃用のミサイルなどを搭載したミサイル巡洋艦2隻とミサイル駆逐艦9隻の計13隻が配備されています。

 ロナルド・レーガンは、これらのミサイル巡洋艦やミサイル駆逐艦と、岩国基地(山口県岩国市)に配備されている艦載機で、「空母打撃群」と呼ばれる戦闘部隊をつくります。横須賀は文字通り、地球規模で“殴り込み”をかける米空母打撃群の一大出撃拠点となっています。

 米海軍は、空母を除けば日本以外にも所属艦船の海外母港を持っています。スペインのロタ、イタリアのガエタ、ギリシャ・クレタ島のスダ湾、バーレーンのマナマ、サイパン、グアムです。米領であるサイパンとグアムを除けば4カ所です。

 これら4カ所の配備艦船は、▽スペイン・ロタがミサイル駆逐艦4隻▽イタリア・ガエタが揚陸指揮艦1隻(地中海などを管轄する米第6艦隊の旗艦)▽ギリシャ・スダ湾は、補給など後方支援の拠点となる遠征海上基地艦1隻▽バーレーン・マナマは機雷除去を行う掃海艦4隻と遠征海上基地艦1隻―です。横須賀に比べれば、はるかに小規模です。

 加えて日本では、佐世保基地(長崎県佐世保市)も米艦船の海外母港になっています。配備艦船は、米海兵隊の部隊や装備、航空機を搭載する強襲揚陸艦アメリカなど揚陸艦4隻と掃海艦4隻です。沖縄県にある多数の基地や岩国基地に米海兵隊の部隊が海外で唯一、大規模に駐留しているためです。「米軍基地国家」と言うべき日本の異常さを際立たせています。

自衛隊が参戦する危険も

 日米両政府は、米空母の横須賀配備を「日本防衛」のためなどと繰り返します。しかし、横須賀を母港にした空母はこれまで、アフガニスタンやイラクでの戦争などで出撃を繰り返してきました。現在は、中国などを軍事的に封じ込める米国の戦略を最前線で実行する部隊になっています。

 岸田文雄政権は、米国の軍事戦略に追随し、敵基地攻撃能力の保有を進めています。米軍と自衛隊が一体化して海外で戦争する危険が高まっています。そうさせないためにも、横須賀の空母母港化をやめさせることが必要です。


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