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2023年9月30日(土)

日本共産党創立101周年記念講演を聞いて

山口大学名誉教授 纐纈厚さん

教訓と示唆と勇気と

写真

(写真)纐纈厚さん

 日本共産党の歴史が、同時に日本近現代史の歴史そのものであることを語り尽くした記念講演。100年の党史を極めて的確な時代区分に従って説かれた内容は、魅力溢(あふ)れる内容だ。同時に日本共産党の歴史は、私たち日本人の受け継がなくてはならない歴史だと痛感する。未来を切り開く責務を負う私たちに、実に多くの教訓と示唆、そして勇気を与えるものだ。

 日本共産党が革命政党として一貫して追求してきた理想の人間社会。その社会を建設するために、実に数多(あまた)の犠牲を払いつつも、揺ぎ無き歩みを止めなかった歴史。そして、絶えまない学習と議論。それらを通して鍛え上げられてきた思想と運動。それがいかなる内容であったかを縦横に論じ、力強く発信された。

 演説を通して改めて感じ取ったことは、日本共産党が人々の心根に寄り添った人間の党であり続けてきたことだ。革命の成就と人間の復興とは、一対のものであることを日本共産党の百年は、見事に示してきたことも。人間の復興とは、不正なる権力により虐げられてきた人間が、憲法により保障された人権を取り戻していく過程を指す。重ねて言えば、ここで言う革命とは、人間が人間らしく、心豊かに暮らせる社会の創造を目的とした行為である。そのことを目指す革命の党であり、かつ人間の党としての真価が問われてきた政党こそ、日本共産党である。そのことを記念講演から確(しっか)りと読み取ることができる。

 講演で特に注目したのは、飯島喜美を中心に高島満兎(まと)、田中サガヨ、伊藤千代子の四人の女性闘士の生き様を紹介されたことであった。拙著『戦争と弾圧』(新日本出版社)で伊藤千代子を取りあげて以来、力強くも優しく仲間たちとの熱い交流を通し、労働運動にまい進した女性たちの生き様に注目してきた。それだけに、日本共産党の一つの立ち位置を示した事例として、感動を覚えずにはいられなかった。

 現在、日本は敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有する「戦争をする国」へと変貌している。私たちが、二度と戦争の歴史を歩まないためにも、日本共産党が追求する野党共闘の実現が喫緊の課題となっている。決してそれは困難なことではない。日本共産党が育んできた100年の英知と勇気。平和社会の実現と人間復興への貢献。それが必ずや役立つはずである。未来を切り開いていくたくましい精神と思想を、改めて教示した記念講演。それは歴史的な演説として記録され、長く人々の記憶にも留め置かれることになろう。

 (寄稿)


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