しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年9月30日(土)

主張

インボイス

導入の強行は全く道理がない

 岸田文雄政権は消費税のインボイス(適格請求書)制度を10月1日に導入しようとしています。実施を目前にして、インボイス制度で負担を強いられる小規模事業者やフリーランスなどの導入延期や中止を求める声と運動は一層強まっています。岸田首相は29日、関係閣僚会議で事業者の不安解消を指示しましたが、あくまで実施する姿勢です。民意を無視した強行は許されません。

広がる国民の批判の声

 インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)の導入中止を求めるオンライン署名は54万人を突破しました。日本のオンライン署名としては、それまで最多だった一昨年の東京オリンピック中止を求める署名の46万人を超え、過去最多です。前回の署名提出から1カ月足らずで18万人もの署名が急速に集まるなど、うなぎのぼりです。

 同会は25日にインボイス反対を訴える官邸前アクションを行いました。インボイス導入で打撃を受ける自営業者、声優などが、署名に託された国民の声を無視する政府を批判し、「次は岸田首相が私たちの声を聞く番」と迫りました。

 STOP!インボイスは、「インボイス制度が『STOP!』するまで、このオンライン署名で声を集め続けます」と表明しています。

 経済誌も特集で警告します。『週刊ダイヤモンド』30日号は、「普段の請求書や領収書の様式が大きく変わることになるため、フリーランスなどの免税事業者だけでなく、大企業から中小企業の会社員に至るまで多大な影響を及ぼすことになる。それだけに大混乱は必至」と指摘します。『週刊エコノミスト』19・26日号は「10月スタート!大丈夫?」「納税者の理解が追い付かない“見切り発車”で大混乱必至」と記しました。

 人材紹介会社のランサーズの約550人を対象とした「インボイス制度に関するフリーランス実態調査」(19日公表)によると同制度に「登録していない」人が7割以上です。制度開始に対して、「とても不安」「どちらかといえば不安」と回答した人は8割以上です。不安な理由としては「案件や収入がどうなるのかまだ見えていない。激減する可能性もあるため不安」などの声が上がっています。

 これまで売上高1000万円以下の免税事業者は、消費税納入の義務はありませんでした。インボイス制度が導入されれば、インボイスが無いと仕入れ額分の消費税を控除できないため、免税事業者が課税事業者にならざるを得ない状況に追い込まれます。

 免税事業者のままでいることを選択しても、取引から排除されたり、消費税分の値下げを求められたりするおそれがあります。

消費税増税の地ならし

 免税事業者が課税事業者となれば、財務省の試算でも、年間利益の平均154万円のうち、15万円もの増税です。1カ月分以上の利益がとんでしまいます。

 インボイス制度の導入は、これからのさらなる消費税増税への地ならしです。消費税率が10%に引き上げられてから10月1日で5年目となります。国民生活を苦しめる政治をこれ以上、続けてはなりません。いま、やるべきことは、消費税の減税です。力を合わせ、インボイス制度を中止に追い込みましょう。


pageup