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2023年9月28日(木)

秋本議員、受託収賄で起訴

異例の選定基準見直し 首相に全容解明の責任

 秋本真利衆院議員=自民党離党=が受託収賄罪で東京地検に起訴されました。秋本容疑者は、贈賄罪で起訴された日本風力開発前社長の塚脇正幸被告から、競争馬の購入代金を受け、見返りに洋上風力発電の選定方式を同社へ有利になるように国会質問をした疑いがもたれています。有権者から託された国会議員の権力を使って、再生可能エネルギーを利権にした疑惑であり、徹底解明が必要です。

 同時に問われるのは、洋上風力発電の選定方式の変更にまつわる疑惑です。この変更は、秋本容疑者の政治力でできるようなものではありません。

 注目されるのは2021年12月に秋田、千葉両県の3海域の事業者を選定した以降の動きです。3海域全てで三菱商事を中心とする企業連合が独占し、業界に激震が走りました。秋本容疑者は翌22年2月に国会質問で選定基準の見直しを求めています。

 実は、この秋本容疑者の質問前に岸田文雄政権内で基準見直しの動きがありました。萩生田光一経産相(当時)は、22年1月の記者会見で「他のプロジェクトの人たちにも今後参加しやすい仕組みを、今回の結果を踏まえていろいろ検討してみる」と見直しを示唆しています。

 萩生田経産相は同年3月に「今後の公募においては、価格だけでなく早期の導入という観点でも各社の競争を促す仕組みとしたい」と表明。すでに開始した秋田県八峰町、能代市沖の公募を延期してまで見直しするという、異例の対応でした。

 秋本容疑者は自民党内で無派閥。政府の役職も国土交通政務官を経験しただけで、政府への影響力は限定的です。そんな秋本容疑者が頼ってきたのは「政界の親父」と慕った菅義偉前首相です。同じ法政大学出身という縁でした。

 秋本容疑者は自著『自民党発! 「原発のない国へ」宣言』で、洋上風力発電の導入拡大に“奔走”した経緯をつづっています。この中で繰り返し菅氏が登場します。

 秋本容疑者が事務局長を務めた「自民党再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」の顧問に、安倍内閣の官房長官だった菅氏が就任。同議連で提言をまとめるたびに菅氏へ渡していました。

 17年に国交政務官のポストを希望するにあたっては官房長官だった菅氏に「洋上風力発電に必要なルール整備をやらせてほしい」と要望しています。

 異例の選定基準見直しの裏で、有力議員の関与があったのか―。岸田首相は秋本容疑者の疑惑について「大変遺憾だ」というばかりで逃げています。しかし事件は自らの政権下で起きました。全容を解明し、金権腐敗をただす責任は首相にこそあるのです。(三浦誠)


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