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2023年9月23日(土)

主張

辺野古・国交相勧告

新基地建設こそ「公益害する」

 沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設をめぐり、斉藤鉄夫国土交通相が、防衛省沖縄防衛局による埋め立て工事の設計変更申請を承認するよう、玉城デニー知事に「勧告」しました。知事が辺野古新基地に反対する沖縄の民意が政府に顧みられない実情を訴えるため、スイス・ジュネーブでの国連人権理事会に出席しているさなかに、勧告文書を知事不在の県庁に送りつけました(19日発送)。知事が政府の姿勢を「国際社会では異様なこと」(琉球新報20日付)と批判したのは当然です。

県の主張は生きている

 勧告は、知事に代わって国交相が沖縄防衛局の設計変更申請を承認する「代執行」に向けた手続きの一つです。

 設計変更申請は、新基地建設予定地北側にある大浦湾の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事を行うためです。知事は申請を不承認にしました。

 これに対し、沖縄防衛局は国民(私人)の権利救済を目的にした行政不服審査制度を乱用して国交相に審査請求をし、国交相は知事の不承認を取り消す「裁決」と、知事に承認を求める「是正の指示」を出しました。知事はこれらを違法として提訴しましたが、最高裁は知事の訴えを退ける不当判決を今月4日に言い渡しました。

 今回の勧告はこの最高裁の不当判決を受けたもので、27日までに設計変更申請を承認するよう迫っています。

 知事が勧告に応じなければ次に国交相は承認するよう「指示」を出すことができ、さらに応じない場合は高裁に訴えを起こすことができます。高裁が訴えを認めても知事が承認しない場合は、国交相が代わって承認する代執行を行うことができます。これらの手続きは地方自治法で定められていますが、放置すれば「著しく公益を害する」ことが明らかな場合に限り認められています。

 最高裁の判決は、行政不服審査制度の乱用による国交相の是正指示を手続き的に認めただけで、知事が設計変更申請を不承認にした理由についての判断は示していません。

 知事は不承認の理由として▽政府が計画している地盤改良工事は安全性に懸念がある▽絶滅危惧種ジュゴンをはじめ環境への影響が甚大である▽政府は地盤改良を含めた埋め立て工事に9年かかるとしているが、不確実であり、「普天間飛行場の危険性の早期除去」につながらない―ことを挙げていました。最高裁は新基地建設の妥当性に関しては結論を出しておらず、県の主張は生きています。

知事支える世論大きく

 デニー知事は国連人権理事会で、沖縄の現状について「米軍基地が集中し、平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害されている」と訴えました。また、政府は、県民投票という民主主義的な手続きによって明確に反対の民意が示されているにもかかわらず、辺野古の貴重な海域を埋め立てて、新基地建設を強行していると告発しました。

 岸田文雄政権が強権的に推し進めている新基地建設こそ「著しく公益を害する」のは明らかです。新基地建設阻止を掲げるデニー知事を支える運動と世論を大きく広げることが重要です。


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