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2023年9月18日(月)

きょうの潮流

 職場で神経をすり減らし、家庭でも問題を抱える息子。地域の仲間と一緒にボランティア活動に励み、恋にもときめく母。山田洋次監督の新作「こんにちは、母さん」は下町を舞台にした親子の物語です▼3世代の家族をみつめながら親子の情愛を描きました。そこには現代社会を生きる人びとの悲哀とともに、老いてゆく人間の孤独や不安も映しとられています。自分や家族の老後を考えさせられるように▼きょうは敬老の日です。厚労省の発表によると100歳以上の高齢者が全国で9万2千人をこえ、53年連続で最多を更新しました。2012年に5万人をこえて以降、およそ10年で倍近くに。なかには世界最高齢の薬剤師としてギネスの世界記録に認定された女性もいます▼人生100年時代の幕開け。しかし一方で高齢者を「老害」とみなし、長生きを負い目のように感じさせる風潮もあります。介護難民や孤独死を生みだしている政府の冷たい「切り捨て政策」があるからです▼実際、高齢者をとりまく状況は厳しい。職もなく年金は少ない。医療や介護の負担は増すばかりで将来不安を訴える声も多い。日本は先進国のなかでも高齢者の貧困率が高く、老いることが貧しくなることに直結しています(『「人生百年時代」の困難はどこにあるか』)▼先の映画では、異なる価値観や考え方をもった世代が交流しながら、それぞれが新しい生き方を模索していきます。老いとは、生きがいを感じられる人生とは。その意味を問い直すように。


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