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2023年9月17日(日)

土地利用規制法

防衛省市ケ谷庁舎はなぜ最重要区域から外れたのか

 政府は11日、防衛省本省がある市ケ谷庁舎を、土地利用規制法に基づく「注視区域」の指定候補として示しました。同法に基づく区域指定は周囲1キロが監視対象になり、「機能阻害行為」が確認されれば中止を勧告・命令。従わなければ刑事罰が科されるというもの。さらに指揮中枢・司令部機能を有するなど、特に重要とされる区域を「特別注視区域」に指定するとしていますが、なぜ軍事の「中枢」の市ケ谷庁舎は特別注視区域の対象外になったのでしょうか。

指定に二重基準

 内閣府は、本紙の取材に、区域指定にあたっては「『経済的社会的観点から留意』するとの規定に基づき、区域の面積の大部分が人口集中地区であることや区域内の土地取引件数が人口20万人以上の市町村と同等以上の土地取引が行われている場合は特別注視区域ではなく注視区域とする」と説明しました。特別注視区域に指定された場合、区域内での土地・建物の売買において、事前の届け出義務が発生するため、地価の下落などの懸念が生じていました。

 政府は、市ケ谷庁舎以外に、練馬駐屯地(東京都)や入間基地(埼玉県)、仙台駐屯地(宮城県)などの人口密集地に所在する「重要施設」も同様の理由から特別注視区域の対象外としました。一方で、ミサイル配備に反対の声が広がっている南西諸島の各駐屯地などを特別注視区域に指定し住民を締め付けるなど、ダブルスタンダード(二重の基準)が生じています。

背景に公明党が

 こうした規定が設けられた背景には与党公明党の動きがあります。同党はホームページで、防衛省周辺など都市部の特別注視区域指定によって土地売買が事前届け出制になり、経済活動の負担が増えることに懸念を表明。「経済的社会的観点から留意」の規定は、公明党が同法に「盛り込ませた」と主張(2023年1月10日)しています。

 防衛省周辺には、同党の支持母体である創価学会の総本部など多数の関係施設が存在。これらの一部が1キロ圏内に近く、学会に配慮したとの見方もあります。

 土地利用規制法の「立法事実」として政府は、外国資本による不動産購入を契機とする不安、リスク、懸念を挙げていました。しかし実際には政権側の都合が優先されていたことは明らかです。これでは区域指定自体が無意味です。

 そもそも、同法は住民を監視対象にして財産・プライバシー権を侵害する、基本的人権無視の違憲の法律です。区域指定は直ちにやめるべきです。


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