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2023年9月17日(日)

主張

辺野古新基地

際限ない工事費 計画中止こそ

 沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設に、今年3月末までに4000億円以上が投入されていたことが分かりました。埋め立ての進捗(しんちょく)率は14%にすぎないにもかかわらず、防衛省が当初見積もった総工費3500億円をすでに上回っています。埋め立てが始まっていない建設予定地北側の大浦湾には軟弱地盤が広がり、難工事が必至とされ、今後も膨大な費用が見込まれます。新基地反対の民意に背き、完成の見通しもない計画に湯水のように国民の税金を注ぎ込むことは許されません。

進捗14%で4千億超支出

 新基地建設のために支出された費用は2022年度末時点で4312億円に上ります。日本共産党沖縄県議団が行った政府交渉の中で防衛省が明らかにしました。

 政府は、13年に当時の保守県政が埋め立て工事を承認したのを受け、新基地建設の総工費を「少なくとも3500億円以上」(14年3月13日、参院外交防衛委員会、小野寺五典防衛相=当時)としていました。しかし、22年度末までの支出額はこの当初の見込みを大幅に超過しています。

 ところが、埋め立て工事の進捗率は「(今年)3月末時点で、辺野古側の約92%、事業全体の約14%」(4月18日、衆院安全保障委員会、浜田靖一防衛相=当時)となっています。

 辺野古側とは新基地建設予定地の南側にあり、水深が浅く工事が容易とされてきた海域です。一方、北側の大浦湾では埋め立ては行われていません。

 大浦湾には、「マヨネーズ並み」とされる軟弱地盤が広がり、最深部は海面下90メートルに達します。防衛省は15年には軟弱地盤の存在を把握していたとされますが、その事実をひた隠しにしてきました。

 同省は20年になって軟弱地盤の改良工事を追加するため埋め立て工事の設計変更を沖縄県に申請しましたが、県は21年に不承認の決定をし、今日に至っています。そのため、埋め立ての進捗率は全体の14%にとどまっています。

 防衛省は19年に軟弱地盤の改良工事を含めた総工費を9300億円に修正しました。しかし、軟弱地盤の改良工事が始まっていない段階で、その半分近くの4312億円が使われています。

 海面下90メートルまで広がる軟弱地盤の改良工事は前例がないとされます。沖縄県は軟弱地盤の発覚を受け、総工費を2兆5500億円とする独自の試算を示していますが、これを上回り3兆円を超える可能性があるとの指摘もあります。

 しかも、国内の作業船で地盤改良を行えるのは海面下70メートルまでです。防衛省は20メートルの未改良部分を残したまま埋め立てる計画ですが、専門家は沈下の危険性を指摘しており、完成の見通しもありません。これは、沖縄県が防衛省の設計変更申請を不承認にした理由の一つになっています。

税金の無駄遣いやめよ

 最高裁は今月4日、国土交通相が設計変更を承認するよう沖縄県に出した是正指示を適法とする不当判決を言い渡しました。

 しかし、それで新基地建設ノーの沖縄の民意が変わるわけでも、軟弱地盤の問題が解決するわけでもありません。際限のない税金の無駄遣いをやめるためにも、新基地建設は中止すべきです。


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