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2023年9月13日(水)

主張

経団連の税制提言

国民に重荷を強いる身勝手さ

 経団連が2024年度の「税制改正に関する提言」を発表しました。すでに至れり尽くせりの大企業優遇をさらに拡充するよう求める一方、消費税増税の必要性を強調しました。500兆円を超える内部留保をため込みながら、賃上げを口実に減税を要求しています。自らの負担は軽減し、国民に重荷を強いる身勝手な主張です。

暮らしを壊す消費税増税

 提言は最初に「防衛力強化は、国民や企業の安全を確保する基盤」だとして、岸田文雄政権が進める大軍拡を当然視しました。財源については「すべての個人、法人によって広く負担すべきである」と述べながら、法人税の負担増については「慎重に検討していくべきである」としています。

 負担が増える場合は「企業活動を支えるための強力な税制措置が必要である」と新たな優遇税制まで要求しました。

 社会保障の財源については消費税が重要だとし「中長期的な視点からは、その引き上げは有力な選択肢の一つである」と明記しました。消費税が「景気変動に対しても安定的」であることを理由に挙げています。景気悪化で賃金をはじめ国民の所得が落ち込んでも確実に取ることができる税制だということです。これほど不公平な税はなく、社会保障の財源として最も不適切です。

 消費税の税収は導入された1989年からの累計で500兆円以上です。法人税と所得税・住民税は同じ期間に600兆円以上減りました。国民から吸い上げた消費税は、大企業・金持ち減税の穴埋めに消えました。

 消費税増税は暮らしを壊します。税率を5%に引き下げることこそ緊急に必要です。

 法人税率は消費税導入時に40%でしたが、その後、次々に引き下げられ、今は基本税率で23・2%です。

 それでもなお提言は「わが国の法人実効税率は主要先進国の中では依然として高い」として「投資を後押しする税制」を求めました。実際には研究開発減税などさまざまな優遇措置で大企業の実質的な法人税負担率は10%程度です。

 法人税を減税して増えたのは大企業の内部留保でした。賃上げや国内の設備投資に生かされませんでした。提言は賃上げ減税の継続を要求していますが、大企業は賃金を上げられるだけの内部留保をため込んでいます。

 賃上げ減税を利用できるのは黒字企業です。恩恵を受けるのは大企業が中心です。実効性のない減税は廃止して、中小企業の社会保険料の減免など赤字経営の企業を含めた支援を行うべきです。

 そのほかにも提言は国際課税や金融所得課税で大企業や富裕層に有利な措置を要求しています。

大企業優遇行き過ぎ正せ

 税は能力に応じて負担するのが大原則です。行き過ぎた大企業優遇税制を抜本的に見直し、廃止・縮小する必要があります。

 安倍晋三政権以降に膨らんだ内部留保に時限的に課税し、不公平を正すとともに、この税収を財源に中小企業の賃上げを支援することが国民の暮らしと日本経済を立て直すために欠かせません。

 各国の法人税引き下げ競争に対する国際的な見直しを進め、下げすぎた法人税率を元に戻すことも重要です。


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