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2023年9月12日(火)

農業基本法改定 農政審が答申

失政への反省なし

 農林水産相の諮問機関である食料・農業・農村審議会は11日、食料・農業・農村基本法改定へ向けた答申を野村哲郎農水相に提出しました。国民の食料を国内でどれだけ確保できているかを示す食料自給率については、「目標の一つ」に格下げしました。

 答申は、基幹的農業従事者(日常的に自分の仕事として農業を営む人)の減少・高齢化、食料自給率の低迷など、現行基本法制定以降の情勢の変化や課題を記述。しかし、政策の問題点の検証はなく、世界貿易機関(WTO)協定などの際限のない輸入自由化、欧米に比べ貧弱な価格保障・所得補償など失敗した農政への総括・検証がありません。

 農政の「見直しの方向」では、国が需給・価格に責任を持たない「適正な価格転嫁」や「需要に応じた生産」、「生産性の高い経営体」の育成、「海外市場を見据えた農業・食品産業への転換」「スマート農業の推進」など旧来の政策ばかりです。

 部会に寄せられたパブリックコメントでは「国産増産を」などの声が多く寄せられましたが、答申は触れていません。一方で、「不測の事態」の際に国が特定の作物の生産を強制する立法措置の検討も促しています。

 「安心・安全な食料を」との農業者、消費者の願いに応えるには、食料自給率向上を国政の中心課題にすえ、価格保障・所得補償の充実など農業が続けられる政策、農産物輸入自由化路線からの転換が急務です。

 政府は、来年の通常国会に基本法改定案を提出する見通しです。


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