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2023年9月10日(日)

「自衛隊は憲法違反」

長沼一審判決の意義今こそ

札幌 50周年記念集会

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(写真)内藤氏の講演を聞く参加者=9日、札幌市

 基地建設に伴う保安林伐採の取り消しと、自衛隊の違憲性を訴えた北海道長沼町民の訴えを認め、戦後唯一、「自衛隊は憲法違反」と判断した長沼一審判決(1973年9月7日)50周年記念集会が9日、札幌市内で開かれました。

 第1回口頭弁論から長沼裁判の弁護団を務めた内藤功弁護士は、“「専守防衛」は根拠がとぼしく、軍事的には敵基地への先制攻撃が合理的だ”という趣旨の証言を自衛隊幹部から引き出すなど、徹底的な実体審理が自衛隊違憲論につながったことをあげました。また、一審を担当した福島重雄裁判長が国家権力から集中攻撃を受け、70年10月に辞任を決意したものの、全国から700通を超える激励の手紙が届き、撤回したことをあげ、世論の重要性を訴えました。

 内藤氏は、自衛隊が装備面で増強される中でも、政府が容易に明文改憲や集団的自衛権の全面行使に踏み切ることができない背景として、「長沼判決が深刻なダメージを与えている」と述べ、判決の力を強調しました。

 内藤氏は、安保3文書に基づく大軍拡に立ち向かう上で、「自衛隊は違憲という立場を第一線に据えるべきだ」と強調。同時に、「幅広い人々との共同を進めるため、政策面では柔軟性を持つべきだ」と訴えました。

 「平和的生存権」を認めたことも、長沼判決の重要な意義です。自衛官の人権に取り組んでいる佐藤博文弁護士は平和的生存権を武器に全国でイラク派兵差し止め訴訟を起こし、2008年4月の名古屋高裁判決などで平和的生存権を認めた判決を勝ち取ったことを紹介。佐藤氏は、「この判決後、自衛隊は完全撤退し、今日まで海外派兵を許していない。長沼判決の規範性が大きな力を発揮している」と強調しました。

 記念集会には、福島重雄氏も出席。名古屋高裁の裁判長だった青山邦夫弁護士もメッセージを寄せ、「憲法9条をめぐって厳しい状況であるからこそ、長沼一審判決の意義をあらためて考えるべきだ」と述べました。


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