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2023年9月10日(日)

朝鮮人虐殺

松野官房長官 公的記録で質問

2011年衆院委 「記録ない」と矛盾

 松野博一官房長官が先月30日の記者会見で、関東大震災当時の朝鮮人虐殺の事実についての記録は政府内に「見当たらない」と述べ、史実の歪曲(わいきょく)だなどの批判を浴びましたが、同長官はいまだに問題の発言を撤回していません。しかし、松野氏が2011年7月27日の衆院文部科学委員会で、朝鮮人虐殺が実際にあったことを示す公的な記録をもとに質問を行っていたことが、同委の会議録からわかりました。

 同日の質疑で松野氏は、教科書検定の事実認定のあり方として、関東大震災当時の朝鮮人虐殺への自警団や軍隊、警官の関与を明記している教科書が3冊、殺害された朝鮮人の死者数を数千人と記載する教科書が2冊あるとした上で、司法省が1923年11月30日に発表した調査をまとめた内務省警保局発表の朝鮮人死者数は231人だったと指摘しました。

 また、朝鮮総督府官房外事課発表の圧死者や火事による死者を含む関東大震災での朝鮮人総死者数832人には殺害された被害者も含まれていたとして、「(関東大震災での虐殺の)被害者になった方は、この2割から3割ではないかと推測されるという表記があった」と発言。「当時の日本国の正式な発表は200名前後で、数千名というのは事実に対する事象が全く変わってきている」などとして、政府が被害者の人数を認定すべきだなどと訴えていました。

 朝鮮人虐殺の被害を矮小(わいしょう)化するためとはいえ、松野氏が公式な記録をもとに朝鮮人虐殺の事実があったことを前提とする質問をしていたことは明らかです。「記録は見当たらない」という会見での発言との重大な矛盾についての同氏の説明が求められます。


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