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2023年8月25日(金)

きょうの潮流

 甲子園にすがすがしい風が吹きました。髪をなびかせ笑顔で躍動する選手たち。大舞台で楽しげにプレーする姿がそこにありました▼夏の全国高校野球大会。優勝した慶応は「エンジョイ・ベースボール」を掲げました。めざしたのは選手の自主性を育て選手自身が考える野球。森林貴彦監督は「うちが優勝することで高校野球の新たな可能性とか多様性とかを示せればいいなと」▼変化のきざしは以前からありました。20年ほど前に神奈川県の強豪私立高を取材したときのこと。長時間の練習をやめて合理的なトレーニングを導入。選手と話しあい、自発性を促す指導を心がけていました。県内では有志の監督同士が集まり、指導方針や練習法を研究しあうとりくみも▼慶応の前監督だった上田誠さんもその1人でした。長年続く高校野球の慣習に疑問をもち、それが今のエンジョイ・ベースボールにつながりました▼決勝で敗れた仙台育英もさわやかな印象を残しました。須江航(わたる)監督は「人生は敗者復活戦」で、負けたときに人間の価値が出ると。そして相手の優勝インタビューに拍手を送り続けた選手をたたえ、それが誇りだと胸を張りました▼教育の一環として位置づけられながら、体罰や丸刈りの強制、頭ごなしのスパルタ指導がいまだ絶えない高校野球。学校の宣伝のために有力選手を集め、選手を駒のように扱う勝利至上の考え方も根強い。しかし、変化の風は確実に起きています。部活動が成長の場として選手が主役となるためにも。


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