しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年8月24日(木)

物流大手UPS 全米励ます労働協約

配送運転手ら賃上げ 非正規でも平均48%アップ

 【ワシントン=石黒みずほ】米物流大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の配送ドライバーらを組織する全米運輸労組(チームスターズ)は22日、7月に会社側と暫定合意していた5年間の労働協約を圧倒的多数で承認したと発表しました。賃上げを求めて労働者が立ち上がるなか、米国の労働運動を励ます「歴史的な労働協約」(チームスターズ)を勝ち取りました。

 チームスターズには、34万人のUPS従業員が加盟しています。これは米民間企業のなかで最多の組合員数です。

 組合側は、現協約の期限(7月31日)を前に、4月からUPSとの交渉を開始。UPSの利益は2022年だけで1000億ドル(約14兆円)にのぼる一方で、労働者はエアコンのない配送車で働かされるなど過酷な環境を強いられていることも告発。労働者は全米各地で、ストも辞さない構えを示す集会などに取り組み、7月に暫定合意に達していました。

 3日に開始された組合員投票では、暫定合意が史上最高の86・3%の賛成で承認されました。

 新協約は、現在働く全ての従業員を対象に23年は時給を2・75ドル引き上げ、今後5年間で同7・50ドル(1060円)引き上げると明記。非正規労働者で平均48%の賃上げで、正規の配送ドライバーの最上位賃金は、平均時給49ドルとなります。

 新協約はまた▽配送車内のエアコン・換気装置の設置▽非正規の登用を含め、正社員を7500人増やすこと―などを盛り込んでいます。

 チームスターズのオブライエン議長は、新協約は「最も(労働者の)利益となる合意だ」とし、「何十万人もの労働者の生活をよくする」と指摘。「全国の労働者がどのように賃金を支払われ、保護されるべきかのひな型になる。アマゾンなど労組に反対する企業は注意を払うべきだ」と述べました。

 UPSは米国の小包配送の4分の1を担うことから、ストとなれば大規模な経済損失が予想されていました。


pageup