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2023年8月22日(火)

やっぱり面白い! 8中総読みどころ(1)

「政治対決の弁証法」

次の勝利準備するたたかい

 「8中総から来年1月の党大会までの時期は、日本共産党にとって命運がかかった歴史的な時期となります」。6月末に開かれた日本共産党の第8回中央委員会総会は、こう強調しました。その「歴史的な時期」の起点となった8中総決定は、文字通り「命運」のかかった決定となりました。その読みどころ、議論するうえでの焦点を連載でみていきます。


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(写真)8中総で衆院選挙勝利に向けてがんばろうと唱和する予定候補者と中央役員ら=6月24日、党本部

 8中総は冒頭、政治情勢を「『政治対決の弁証法』の立場で到達点をつかむ」ことを強調しています。直接には今年の統一地方選の結果をどうつかむかで提起された命題ですが、それにとどまらず「私たちがどういう政治姿勢で今後の情勢に立ち向かうかの大局的見地を明らかにしたもの」(結語)で、政治情勢論の核心です。

 弁証法とは、ものごとを「変化と発展」としてつかむ、発展の科学です。「政治対決の弁証法」も、“党は前進するときも後退するときもあるが、くよくよしないで頑張ろう”というものではなく、「支配勢力による攻撃といかにたたかってきたか、その中でどういう成長と発展のための努力をはかってきたか。この立場で、私たちが今立っている到達点と展望を大局的につかむ」(報告)ことです。8中総が示した三つの節目にそってみてみます。

2021年総選挙での激しい攻防

 第一は、2021年総選挙での激しい攻防です。

 日本共産党はこの総選挙で正面から政権交代に挑戦する大攻勢をかけました。立民、共産、社民、れいわの4党での「共通政策」、志位和夫委員長と立民・枝野幸男代表(当時)による「政権協力」合意、それをうけての候補者一本化(289選挙区のうち209)という「選挙協力」―野党がはじめて「3点セット」の本格的共闘で選挙戦にのぞんだのです。メディアも公示日には「自公VS野党共闘」「自公政権継続か政権交代か」と争点を伝えました。

 これに対し、自民党をはじめ支配勢力は「権力が失われるのではないかという緊張感でたたかった」(自民党元幹部)と危機感に駆られ、共闘の中心にいた共産党に攻撃を集中し、共闘の分断・破壊を企てました。安倍晋三元首相は「共産党の力を借りて立憲民主党が政権をとったら、日米同盟の絆、信頼は大きく損なわれてしまう。その瞬間に日米同盟は終わってしまう」(同年10月24日)とまで絶叫。公営掲示板に「共産党との連携内閣を阻止!」という赤いシールを貼る候補者まで現れました。

 日本共産党は共闘の前進に全力をあげ、一本化した59の小選挙区で勝利。自民党議員が選挙直後テレビで「統一候補は大きな脅威でした。…どっちに転んでも不思議はなかった」とのべるほど追い詰めましたが、攻め落とせず、共産党自身は悔しい結果になりました。総選挙後、共産党は、支配勢力の必死さを上回る必死さで反撃する点で弱点があったと教訓を明らかにし、次のたたかいにのぞみました。

22年参院選に向けての攻防

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(写真)22年参院選に向け活用した通称「はてなリーフ」

 第二は、22年の参院選に向けての攻防です。総選挙直後から支配勢力や一部メディアは「野党共闘は失敗」「共産党との共闘が失敗の原因」などと反共キャンペーンを開始。日米安保条約、自衛隊、天皇の制度などをめぐって「共産党の綱領は現実離れ」との攻撃も行われ、立民に、共産党との「決別」を迫る論調も現れました。

 一連のキャンペーンに対して、日本共産党は「あなたの『?』におこたえします」(「はてなリーフ」)を作って、党綱領の立場を果敢に語り、真実の姿を明らかにする取り組みに奮闘しました。

 22年2月にロシアによるウクライナ侵略が開始されると、国内ではそれに乗じて自公や維新などから「敵基地攻撃能力」や「軍事費2倍化」の大合唱。維新は「核共有」まで主張しはじめました。一時期は日本共産党の訴えに冷たい反応が広がりました。

 これに対して、日本共産党は平和の論陣をはって奮闘。バイデン米大統領が「民主主義対専制主義」を唱え、世界を二分する軍事ブロック的対応をとったのに対し、「国連憲章守れの一点で団結を」と訴え。憲法9条を生かした外交で東アジアに包摂的な平和の枠組みをつくる「外交ビジョン」を語りぬきました。

 こうした理性的論陣で大逆流を一つ一つ押し返し、6中総では参院選の結果を「『二重の大逆流』によって、総選挙よりもさらに大きく押し込まれた地点から、全党の大奮闘によって押し返す過程での一断面」と総括しました。

統一地方選に向けての攻防

 第三は今年の統一地方選挙に向けての攻防です。

 参院選後から共産党への攻撃は出版物やメディアを通じた大キャンペーンとなって続けられました。党創立100周年にからめた学者の著作やメディアの特集や社説が相次ぎました。たとえば、毎日新聞の「政治プレミア」(22年6月1日付)は、「ソ連共産党に由来する民主集中制を改め、党員による党首の直接選挙を行うこと」や「日米安保条約や自衛隊を肯定するとともに、大企業・財界に対する敵視を改める」ことを求める政治学者の意見を紹介。「朝日」社説(同年7月16日付)は「民主集中制」を「異論や少数意見が表に出にくい」「閉鎖性を伴う」などと論難、委員長の在任期間を問題視し党首公選制を求めました。

 これに対し、志位委員長は党創立100周年記念講演会(9月17日)で党史を貫く不屈性、自己改革、国民との共同という特質を明らかにしながら、党攻撃に対する根底的な回答を行いました。

 今年に入ってから、党の規律に反して党外から党攻撃を行い、規約にのっとって処分された党員を利用して、共産党に「異論を許さない党」などという一大反共キャンペーンを繰り広げました。

 日本共産党は、一連の論文や記者会見で、断固とした反論を行うとともに、全戸規模の宣伝物―「異論を許さない? 非現実的? 党首公選にすべき? ありのままの姿を見てください」で、この攻撃に正面から立ち向かいました。

攻防のプロセスはまだ途上

 21年総選挙以来の「政治対決の弁証法」は、まだ途上にあります。7月には、日本維新の会の馬場伸幸代表が共産党に対して「日本からなくなったらいい政党」と民主主義を否定する暴言をのべ、日本共産党は強く抗議し、撤回を求めました。

 馬場氏の暴言には、多くの識者が批判。メディアも「馬場氏は番組で、共産は『世の中にあり得ない空想の世界をつくっている』と、存在否定の理由らしきものを口にした。軍拡と防衛費増大に反対し、憲法の堅持や平和外交を訴え、福祉や医療、教育を重視する共産の政策を指しているのか。…公党の存在意義をないがしろにした馬場氏の発言は、現政権の政治を良しとせず、(共産党に)票を託した有権者をもおとしめている」(「信濃毎日」社説)と批判しました。大事なことは、この社説にもあるように、この動きを通じて大軍拡に反対し、福祉・医療・教育を大切にする日本共産党に光があたっていることです。

 8中総は、マルクスが「フランスにおける階級闘争」で、革命は「結束した強力な反革命」を生み出すこと、それとたたかうことによって革命勢力が「ほんとうの革命党に成長する」と強調したことを紹介。この章の最後にこうよびかけました。

 「この間の一連の激しい攻撃に、わが党が屈せず正面から立ち向かい、大奮闘したことは、わが党史を貫く誇るべき特質である不屈性のあらわれであり、わが党を鍛え、わが党にとっての重要な成長のプロセス、発展の契機になりうるものであること―次の勝利を準備するものであることを、全党の確信にして、次のたたかいにのぞもうではありませんか」(つづく)


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