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2023年8月11日(金)

主張

マイナ中間報告

保険証廃止ありきの開き直り

 マイナンバーの誤ったひも付けに関する政府の「総点検本部」が中間報告を公表しました。健康保険証を一体化したマイナンバーカードに他人の保険証の情報が登録されていた事例が新たに1069件確認され、すでに判明していたものと合わせて8441件に上りました。公務員の共済年金や障害者手帳のひも付けの誤りも見つかりました。

 調べれば調べるほど、深刻な実態が明らかになっています。にもかかわらず、岸田文雄政権は2024年秋の保険証廃止を変えようとしません。

運用をただちに停止せよ

 中間報告は、マイナカードに他人の保険情報が登録されていた事例は「点検データの約0・007%」と、ごく少数であるかのように書いています。

 他人の保険情報をもとに診察、処方が行われれば、命に関わる事故が起きかねません。1件でもあってはならない重大な誤りが8000件以上もあったことに危機意識がありません。

 政府は今後「マイナ保険証」をもとに電子カルテや電子処方箋を標準化し、データの共有を図る計画です。

 全国保険医団体連合会は「他人の情報ひも付けが完全に解消されない限り、医療者は、共有データの信憑(しんぴょう)性を疑わないといけなくなります」と声明を発表しました。間違った処方など医療事故につながりかねず、岸田首相が言う「医療の質向上」とまったく逆の事態を招くと警告しました。この声を真剣に聞くべきです。

 総点検といっても全数調査ではありません。健康保険証では、マイナカードに一体化する際の手順に問題があったとされる健康保険組合などが対象です。今回公表された件数は氷山の一角でしかない可能性が濃厚です。

 混乱をこれ以上広げてはなりません。マイナ保険証やオンラインによる資格確認の運用はただちに停止すべきです。

 中間報告を発表した河野太郎デジタル相は、24年秋の保険証廃止は先の通常国会で成立した改定マイナンバー法で決まっているとして、総点検もそれに向けたものだと強調しました。

 中間報告は「現行保険証からマイナ保険証への円滑な移行を図る」として「デジタル環境の整備」「メリットを実感いただける実効的な仕組みづくり」を掲げました。保険診療に支障をきたしていることへの反省はありません。

 河野氏は、他人の保険情報をひも付けた責任を、作業にあたった現場の「認識が薄かった」ことに転嫁しました。

無責任な河野氏の発言

 河野氏は「マイナカードが普及してマイナポータル(政府のウェブサイト)を見てくださる人が増えたことによって、ひも付けの誤りがわかってきて総点検に結び付いた」と述べました。担当閣僚にあるまじき開き直りです。

 中間報告の関連資料に「自分の情報が正しく登録されているかを確認する方法」まで載っています。マイナ保険証の誤りは自分で見つけよということです。この姿勢で総点検などできるわけがありません。

 岸田政権は、保険証廃止によって国民全員にマイナカードを押し付けることをやめるべきです。


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