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2023年8月5日(土)

主張

辺野古米軍新基地

苦し紛れの無法な工事やめよ

 沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる同県名護市辺野古の新基地建設で、防衛省は新たな既成事実づくりのための工事を始めようとしています。県は工事の根拠に「重大な疑義がある」として手続きの中断を求めていますが、応じようとしません。沖縄の新基地反対の民意を踏みにじり工事を続けようとする岸田文雄政権の姿勢は許せません。

完成の見通しなし

 辺野古の新基地建設では、埋め立て予定地がある大浦湾に「マヨネーズ並み」の軟弱地盤が広がっています。地盤改良をしなければ埋め立て工事はできず、防衛省は当初の設計を変更せざるを得なくなりました。

 変更には、公有水面埋立法に基づき県知事の承認が必要です。しかし玉城デニー知事は2021年、地盤の安定にかかわる必要な調査がされていないことや普天間基地の危険性の早期除去につながらないことなどを理由に、防衛省の設計変更申請を不承認にしました。

 大浦湾側の埋め立て工事は行えず、新基地完成の見通しはありません。そのため、デニー知事は全ての埋め立て工事を中止するよう求めてきました。ところが、防衛省は既成事実化を進めるため、大浦湾側とは別の辺野古側で埋め立て工事を続けてきました。

 防衛省はさらに今年4月、大浦湾側の埋め立てに使う土砂の一部(計100万立方メートル)を辺野古側の埋め立て地に仮置きする工事の入札公告を行いました。知事が承認していない大浦湾側の埋め立てのための工事で、専門家から「違法工事」と批判が上がっているのは当然です。県も防衛省への照会文書(7月31日)で大浦湾側の埋め立てが不可能である以上、仮置きは必要ないと主張しています。

 仮に大浦湾側の埋め立てが可能になっても、工事の完成は不確かです。

 大浦湾側の埋め立て予定地の軟弱地盤は最大で海面下90メートルに達します。国内の作業船で地盤改良を行えるのは70メートルまでです。防衛省は20メートルの未改良部分を残したまま埋め立てを行う計画ですが、専門家は沈下の危険性を指摘します。

 しかも、70メートルまで地盤改良が可能な作業船は国内には1隻しかありません。本紙日曜版によると、今は本土の別の場所で作業しており、すぐに使える状況ではありません(7月30日号)。大浦湾の地盤改良を直ちに始めることはできません。

 そうした状況にもかかわらず、防衛省はなぜ大浦湾側の埋め立て用土砂の仮置き工事を強行しようとしているのか。

行き詰まりの表れ

 防衛省の工事を受注する関係者は日曜版の取材に「辺野古側(の埋め立て)工事はもうすぐなくなる。大浦湾側の工事ができないため、使っていた土砂運搬船は別の現場に行くことになる。(大浦湾側工事が可能になったときに)再度、確保するのは大変だから、防衛省は無理やり仕事をつくっている」と明かしています(同前)。土砂運搬船が別の工事現場に行かないようにするための苦し紛れの引き留め策だと言うのです。

 工事の行き詰まりと防衛省の焦りの表れであるのは明らかです。辺野古新基地反対の世論と運動をさらに広げ、岸田政権を追い詰めることが必要です。


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