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2023年7月31日(月)

きょうの潮流

 おととい東京の夜空に色とりどりの大輪の華が咲きました。コロナの影響で4年ぶりの開催となった「隅田川花火大会」。主催者によると100万人をこす観客が訪れ夏の風物詩の復活を楽しんだといいます▼いまの名称としては1978年から46回を数えますが、成り立ちは古い。江戸時代にあった大飢饉(ききん)と疫病のはやりによる犠牲者の供養と悪疫退散を祈った「両国の川開き」。そこで打ち上げられた花火が始まりといわれてきました▼これまでは徳川吉宗の頃の話として伝わってきましたが、両国花火資料館によると近年新たな記録が見つかり、開始時期がさかのぼりました。1628年に浅草寺にきた天海僧正が舟遊びの際に観賞したのが隅田川花火の最初だと▼いずれにしてもおよそ400年の間、人びとを魅了してきた花火の文化。そこには追悼や納涼とともに国威発揚に使われた歴史も。明治期には天皇の行事の際や景気づけにたびたび打ち上げられ、日露戦争時には祝勝用の花火の注文が殺到したそうです▼幕末の混乱や関東大震災、太平洋戦争などで中止される期間もありました。戦後再開されたときには、この日を心待ちにしていた人波がおしよせ、平穏な空を見つめていたといいます▼「花火が見られることは、世の中が平和であることの証しだった」。東京大空襲で多大な犠牲者を出した墨田区の開催にあたっての資料にはそうつづられています。この夏、各地の夜空を彩る花火大会。あなたは、なにを思って見上げますか?


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