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2023年7月29日(土)

きょうの潮流

 なぜ、どうして―。疑問に思ったことを納得できるまで聞くことができる。戦争の理不尽さを味わったひとりの若者にとって、それが民主主義でした▼自由な問いかけは人間や社会の根源に向けられ、のちの活動につながっていきます。現実の生活について討議し、考え、行動までも推し進めた「山びこ学校」のつづり方教育。どんな質問も子どもの心になって一緒に答えを探した「全国こども電話相談室」▼ほんものの教育とはなにか、私たちはいかに生きるべきか。教育者として、宗教者として、戦後のあゆみのなかで追い求めてきたのが無着成恭(むちゃく・せいきょう)さんでした。一貫して訴えたのは国家の教育から人間の教育へ。そして、反戦平和の思いでした▼「和をもって貴しとなす」。聖徳太子が定めた十七条憲法の第一条は仏教の根本にある考え方で現行憲法の9条に結実していると語っていました。ほんらい和を大事にする国が二度と戦争はしないと誓った憲法をとことん守らねばと▼「武器は人間にしあわせをもたらさない」と軍拡や核に固執する動き、沖縄の米軍新基地には反対の声をあげてきました。一方で人権やくらしを守るメッセージも。そこにあったのは権力に対する不信感と人間への信頼でした▼無着とは、物事に執着しないという禅語だといいます。山形の寒村にある寺で生をうけ、ひょうひょうとしながらも戦争で生き残った意味を問い続けた96年の人生。その人の死後は生きている人の心のなかに生きている。生は死で完結すると。


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