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2023年7月20日(木)

きょうの潮流

 昔から依存症のことを“男らしさの病”“女らしさの病”と呼んでいます―。精神保健福祉士の斉藤章佳さんは、近著『男尊女卑依存症社会』でこう書いています。アルコール依存症は男性、万引き依存症は女性が多いなど、男女差が大きい背景に何があるのでしょうか▼50代のAさんは、若い頃から業務と接待に没頭し、順調に昇進しますが、接待漬けでアルコール依存症に…。ついには仕事中にも隠れて飲むようになりました。いつの間にか依存症になってしまうサラリーマンのリアル▼ワーカホリック(仕事中毒)はアルコール、痴漢、性暴力、DVなどさまざまな依存症のトリガー(引き金)になっている、と斉藤さん。そこにあるのは、「勝つために努力する、弱音を吐かずにひたすら仕事、というのが男性のあるべき姿」とされ、誰もがワーカホリックに一歩一歩近づくしかない社会状況です▼“男は仕事”と対になるのが“女は家”。女性が無償でケア労働を担わされる現実です。そのことが男女の賃金格差に反映しています。「男らしさ」「女らしさ」への過剰適応が生きづらさとなり、さまざまな依存症につながるのです▼先日公表された「国民生活基礎調査」によると、子どもの貧困率は11・5%となりました。とくに、ひとり親世帯の貧困率は44・5%もあり、その9割が母子世帯です。男女賃金格差が母子世帯の貧困に重くのしかかっています▼「らしさ」の呪いともいうべき日本が抱える病。処方箋はジェンダー平等です。


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