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2023年7月13日(木)

きょうの潮流

 アメリカでは以前、トイレが四つに分けられていました。男女それぞれと白人用と黒人用。その頃、日本から出張した会社員がどのトイレに入ればいいのか迷ったという逸話も▼「トイレは、社会の平等達成の水準を示す立派な尺度である」。さまざまな差別問題を研究する韓国の大学教授キム・ジへさんが著書『差別はたいてい悪意のない人がする』のなかで説いています▼すべての人に必要な空間であるトイレがどのように設計され、どう区別されているかを見れば、その社会が人びとをどのように区分し、だれが主流でだれが排除されているのかが一目でわかると。そして、みんなにとって平等なトイレとはどのように設計されるべきなのかと問いかけています▼出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの人が職場のトイレを自認する性で使えるべきだ―。戸籍上は男性ながら女性としてくらす経済産業省の職員が省内の女性トイレの使用を長く制限されたことをめぐり、国の対応は違法だと最高裁が判断しました▼「上告人にとっては人として生きていくうえで不可欠ともいうべき重要な法益」。判決は性的少数者への尊重や十分な配慮を促すとともに、共生社会をつくるための議論や合意形成を呼びかけました▼みずからの尊厳をかけて訴えた職員は「大事なのは社会生活。トイレに限った話ではなく、ほかの職員と差別がないようにしてもらいたい」と。トイレからみえてくる社会の平等。今回の判決がその一歩となるように。


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