しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年7月12日(水)

トイレ使用制限「違法」

性的少数者の職場環境 最高裁が初判断

裁判官全員一致

経産省職員の勝訴確定

写真

(写真)トランスジェンダーの庁舎トイレ使用を巡り最高裁での勝訴を受けて会見した原告弁護団=11日、東京都内

 戸籍上は男性だが女性として社会生活を送る経済産業省の職員が、女性用トイレの使用を制限されたのは不当だとして、国を訴えた裁判の上告審で、最高裁第3小法廷(今崎幸彦裁判長)は11日、トイレの使用制限を認めた国の対応を「違法」とする判決を出しました。裁判官5人全員一致の意見です。

 性的マイノリティーの職場環境に関する訴訟で、最高裁の判断は初めてです。

 訴えを起こした経済産業省の50代の職員は性同一性障害と診断され、女性として働きたいと要望。しかし、勤務するフロアから2階以上離れた女性トイレしか使用が認められませんでした。これを不服として人事院に改善勧告を求めましたが、退ける判定が出たため、2015年11月、国を相手に提訴。一審・東京地裁は、トイレの使用制限は違法だと判断しましたが、二審・東京高裁は逆に違法ではないとしたため、職員側が上告していました。

 最高裁判決は、性同一性障害の診断を受けた職員が、自認する性別と異なる男性用のトイレを使用するか、勤務するフロアから離れた女性トイレを使用せざるを得ないのは、「日常的に相応の不利益を受けている」と認定。

 人事院判定は、女性トイレの自由な使用について明確に異を唱える別の職員がいたとうかがえないなど「具体的な事情を踏まえることなく、他の職員への配慮を過度に重視し、原告職員の不利益を不当に軽視するもので著しく妥当性を欠く」と判断しました。


pageup