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2023年7月6日(木)

主張

武器輸出・与党協議

「死の商人」国家への道許すな

 武器輸出の拡大に向けた自民、公明両党による実務者会合が開かれ、これまでの議論をまとめた「論点整理」を両党の政調会長に提出しました。論点整理は、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を念頭に、同盟国などと共同開発・生産した武器を日本から第三国に直接輸出できるようにする方向で議論すべきだとの意見が大半を占めたことなどを明記しました。憲法の平和主義を踏みにじり、日本を「死の商人」国家にする重大な動きです。

軍需産業に巨利得させる

 岸田文雄政権が昨年末に閣議決定した安保3文書は、「防衛装備品の海外への移転」(武器輸出)を「重要な政策的な手段」と位置付け、「防衛装備移転三原則や運用指針をはじめとする制度の見直しについて検討する」としました。これを踏まえ、自民、公明両党は4月から協議を進めていました。

 現行の防衛装備移転三原則とその運用指針は、2014年に安倍晋三政権が決定しました。それまで武器輸出を原則禁止にしていた「武器輸出三原則」に代えて、原則解禁へと、国是と言うべき政策を百八十度転換するものでした。

 一方、運用指針では、戦闘機やミサイルなど殺傷能力を持った武器の輸出に関しては、米国をはじめ日本と安全保障面で協力関係がある同盟国などとの共同開発・生産(=日本と共同生産・開発をする同盟国などへの移転)に限り認めていました。

 これに対し、論点整理は、同盟国などと共同開発・生産した武器の完成品・部品・技術を日本から第三国に直接輸出できるようにすべきだという意見が大勢だったとしました。

 こうした意見の背景として、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を第三国が購入しようとする場合、現行の運用指針の下では、英国やイタリアは輸出できるのに、日本は輸出することができないため、大きな損失になるという声が自民党内で上がっていたと報じられています。日本が開発・生産に加わった戦闘機が海外で使用され、一般市民を含め死者などが出る恐れよりも、軍需産業に巨額の利益を得させることを優先する姿勢です。

 運用指針はまた、「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5類型について武器輸出を認めていますが、政府は殺傷能力を持った武器は含まれないとしてきました。論点整理は、「警戒・監視」で船舶への立ち入り検査をするため停船射撃用の銃器などを搭載することは可能ではないかとの意見の一致があったとし、検討を求めています。

殺傷能力持つものも解禁

 論点整理はさらに、5類型の撤廃を求める意見があったとしています。殺傷能力のある武器の輸出の全面解禁につながるものです。

 このほか、国際法違反の侵略を受けた国への支援を防衛装備移転三原則に盛り込むことや、今後退役する自衛隊のF15戦闘機のエンジンの輸出を念頭に、殺傷能力を持った武器も部品であれば移転を可能にすべきだとの意見があったことも記述しました。

 武器輸出の推進・拡大の動きは、安保3文書に基づく「軍事国家づくり」の一環です。自民、公明両党は秋以降に協議を再開する予定です。その危険な企てを許してはなりません。


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