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2023年7月4日(火)

主張

最低賃金議論開始

人間らしく生活できる額こそ

 今年の最低賃金の議論が中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)で6月30日からはじまりました。7月下旬ごろに中央審議会が引き上げ額の「目安」を答申し、8月ごろに都道府県の地方審議会で実際の最賃を決め、10月ごろに適用されます。

 現在の最賃は、全国加重平均で時給961円です。岸田文雄政権は6月に決定した「骨太の方針」で、今年は「全国加重平均千円を達成することを含め」議論を行うとしていますが、現在の物価高騰に対して目標が低すぎます。全国一律化と早急に時給1500円の実現が求められます。

地域差つける理由はない

 時給961円では、月160時間働いても約15万円、年収で約184万円にしかなりません。ここから、税・社会保険料が差し引かれます。単身世帯でも、これでは普通に暮らすことは困難です。

 生計費をまかなえるように最賃の大幅引き上げが重要です。

 全労連は加盟する全国の地域組織が最低生計費試算調査を実施しています。食費、住宅費、水光熱費、被服費、交通費、教育費など生計費を個別に積み上げて算出しています。生活実態を反映する「マーケット・バスケット方式」です。これは健康で文化的な「人間らしい暮らし」ができる水準を示します。この調査によると、全国どこでも税込み月額24万~26万円が必要という結果が出ています。月160時間で時給に換算すると1500円以上です。現在最も高い東京1072円でも足りません。ましてや青森など853円と差をつける理由はありません。

 チェーン店の展開などで商品の価格は全国でほとんど同じになってきており、生計費に地域間格差がなくなる傾向がでています。家賃は都市部が高いものの、地方では自家用車が必需品となっており、車の維持費がかかります。

 地方の最賃が相対的に低いままでは、労働者が離れ、地方の経済は力を失い、過疎化がますます進行してしまいます。地方の振興のためにも全国どこでも時給1500円の最賃にすべきです。

 民間信用調査会社の帝国データバンクによると、今年すでに値上げしたか、今後の値上げを予定する食品を合計すると約2万9000品目となり、昨年を上回る見通しです。最賃の引き上げによる家計への支援はまったなしです。

 子どもの学習支援や食料支援を行う認定NPO法人「キッズドア」のアンケート調査(6月26日発表)によると、同団体から支援を受ける世帯のうち、昨年と比較して賃金上昇していない世帯が8割を超え、今後賃金上昇の見込みがないという回答も約8割です。

 キッズドアは「企業への賃上げ要請では非正規雇用や低賃金正社員の収入は増えません。物価上昇を鑑み1割以上の最低賃金の引き上げで、下層の方々の収入が必ず増えるようにしてください」と要望しています。

内部留保へ時限的課税を

 最低賃金の引き上げには、社会保険費用の減免など中小企業への支援が欠かせません。この10年間で186兆円増え、513兆円に膨れ上がった大企業の内部留保へ時限的に課税することで、その財源はできます。力を合わせ全国一律1500円の最賃をかちとりましょう。


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