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2023年7月3日(月)

安倍元首相事件当日に資金管理団体解除

“私人”昭恵氏、残金を継承

 安倍晋三元首相の政治団体を妻の安倍昭恵氏が継承した問題で、引き継いだ「晋和会」の資金管理団体指定を解除していたことが2日、分かりました。政治資金規正法は資金管理団体を、議員や候補者といった「公職の候補者」のために資金を集める団体と定義しています。昭恵氏は公職の候補者とならなかった“私人”であるため、晋和会の継承には指定を解除せざるを得なかったとみられます。(三浦誠)


写真

(写真)晋和会の所在地となっている安倍昭恵氏の自宅=東京都渋谷区

 資金管理団体は政治団体の一種です。公職の候補者が、自身の関連政治団体から政治資金の拠出を受ける団体として一つだけ指定できます。メリットとしては、公職の候補者が政党から政治活動のために受けた寄付を、金額の制限なく自らの資金管理団体に寄付できることなどがあります。

候補にならず

 総務省政治資金課によると、晋和会から資金管理団体の指定が外されたのは、元首相が銃撃事件で亡くなった昨年7月8日付です。昭恵氏は同日付で晋和会の代表者に就任しています。

 政治資金規正法の規定では、資金管理団体の代表者が公職の候補者でなくなった場合、7日以内に異動などの届け出が必要です。つまり元首相が亡くなった段階で、昭恵氏が晋和会を継承するには▽自身が公職の候補者になる▽資金管理団体の指定を解除―のどちらかしかありません。今回の場合、資金管理団体の指定を解除しており、昭恵氏が公職の候補者とならなかったことを示しています。

 晋和会は元首相が父親の安倍晋太郎元外相(故人)から引き継ぎました。その後、元首相が資金管理団体に指定。政治資金収支報告書によると、2019~21年の3年間で毎年「安倍晋三後援会朝食会」という政治資金パーティーを開催。パーティーだけで毎年2958万~7345万円を集めています。21年末の時点で晋和会には約5200万円の残金がありました。

道義的に問題

 これらは元首相が政治活動をするために集めてきた政治資金です。政治団体の寄付収入や政治資金パーティー収入には税金がかかりません。そのような資金を議員や候補者でない“私人”の昭恵氏が引き継ぐこと自体に道義的な問題があります。

 また国税庁によると、解散する政治団体が残金を清算するため個人に寄付をすると、受け取った人は所得税の課税対象となります。他方、政治団体の代表を継承する形ならば非課税となります。

 政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之神戸学院大学教授は「資金管理団体が公職の候補者のために集めた政治資金を、“私人”が引き継ぐのはおかしいのではないか。昭恵氏に政治資金の必要性はどこにあるのか理由を明らかにすべきだ」と指摘します。

 昭恵氏に資金管理団体の指定を外した理由を質問しましたが、回答はありませんでした。


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