しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年7月1日(土)

新型コロナ第9波警戒を

 新型コロナウイルスの感染が再拡大の傾向を強めています。18日までの1週間に発生した定点医療機関1カ所当たりの新規感染者数は前週の平均5・1人から同5・6人へと緩やかに増加。沖縄県では28・7人に達し、第8波のピーク時レベルです(25日までの1週間では38・5人で、第8波のピークを超過)。専門家からは「沖縄はすでに第9波の真っただ中」との指摘が出ています。

 国立感染症研究所によると、流行の主流はXBB・1・16変異株に変わりつつあり、同変異株は第8波の主流だったオミクロンBA5より免疫回避の性質が強く、感染拡大への警戒が必要です。

 この間、子どもの間での風邪症状を示す呼吸器系疾患が増えています。新型コロナウイルスへの感染対策に関連して、子どもの種々の呼吸器系ウイルスへの暴露の減少によって集団免疫レベルが低下してきたと見られています。そこにライノウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルスなどの一般的に風邪症状を起こすウイルスやRSウイルスなどが広がっています。特にRSウイルスは喉から奥の気管支、肺などの下気道で炎症を引き起こして重症化しやすく、これにより多くの入院例が出て小児科医療がひっ迫しています。

 専門家は「種々の病原体に対する基礎免疫レベルが落ちていることを前提に、少しずつ緩和しなければならないところを、急激に、なかば強制的に(5類移行によって)感染対策を緩和させたことがよくなかった」と指摘。「当然のことながら新型コロナウイルスも徐々に増加しつつある状況で、外来診療への負荷は拡大しており、そこにRSウイルスなど重症化しやすいものも含まれている」と強調します。

 沖縄の状況を見ても、今後感染者が増えてくることは明らかで、特に医療ひっ迫が起こりつつあるところでは、迅速に学校での対策の再確認が必要です。学校の子どもたちの間でウイルスが増幅すると、それが地域に広がり、最終的に高齢者などのハイリスク者にウイルスが届くようになります。

 高齢者の予防対策は、基本に忠実に、ワクチン、社会的距離、マスク、3密回避、換気などを徹底することに加え、体調不良者の早期探知・早期診断、早期対応が重要です。また専門家は「ちゅうちょなく検査を行うことが必要で、高齢者にとってのリスクはコロナだけではないので、他のウイルス性感染症にも注意が必要だ。コロナも無症状者や軽症者が増えているので、地域での感染伝播(でんぱ)密度が高くなってくれば、施設に入る前のスクリーニング検査も必要になってくる」と指摘しています。

 感染者の全数把握をやめたことだけでなく、5類移行に伴い、軽症が多いこともあり、新型コロナに感染しても受診しない傾向にあるとみられます。また受診しても検査を行わないことも多くなっており、実際の感染者は報告されているよりも多く、それを念頭に流行状況を考える必要があります。

 (中祖寅一)


pageup