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2023年6月24日(土)

主張

マイナカード混乱

保険証の廃止は断念しかない

 健康保険証を一体化したマイナンバーカードのトラブルは通常国会閉会後も次々に深刻さが明らかになっています。岸田文雄首相はマイナカードの総点検を行うと言いますが、2024年秋に保険証を廃止する方針は変えません。「国民の信頼回復」を掲げるなら、先の国会で成立した改定マイナンバー法を見直し、保険証廃止をやめるべきです。

立ち止まり運用停止せよ

 21日の記者会見で首相は保険証について「来年秋に廃止することを予定している」として、従来の方針に変わりがないことを表明しました。首相が立ち上げた「マイナンバー情報総点検本部」は、保険証廃止を前提としています。

 発行済みの保険証を25年秋まで使える「猶予期間」も使って、対策を講じると言います。逆立ちした考え方です。欠陥が明白なシステムは、被害を拡大しないよう、運用を停止するのが最初にとるべき対応です。

 マイナカードと保険証の一体化は、利用が少ない今の段階でも大混乱を引き起こしています。何の落ち度もない患者、医療機関に多大な負担をもたらし、保険診療の妨げとなっています。

 保険情報の誤登録や、保険資格が確認できないトラブルがあっても運用は続ける、問題は廃止期限までに何とかするというのが政府方針です。解決の見通しはありません。

 保険証で保険資格を確認して診療する仕組みに問題は起きていませんでした。政府が一方的に混乱を持ち込んでいるのが今の事態です。「保険証を存続させよ」「まず立ち止まれ」という声が噴出しているのは当然です。

 全国保険医団体連合会(保団連)が21日に発表した調査には、マイナカードによるオンラインの資格確認システムを運用する8437の医療施設が回答しました。トラブルがあったのは5493施設に上りました。

 転・退職、結婚などを機に加入する保険や個人情報が変わっても、何カ月も反映されていない事例が多発しています。後期高齢者の負担割合が間違っていた例や、顔認証ができず、患者が暗証番号を覚えていなかったので資格確認を断念した例も報告されています。

 オンライン資格確認のコールセンターに連絡してもつながらない、カードを読み込む機械が不具合、保険証を持ち合わせていなかったなどの理由で保険資格を確認できず、医療費の10割を患者に請求せざるをえなかった例は保団連の調査・推計で1291件に上りました。対処を押し付けられる医療関係者の苦痛を岸田首相は考えたことがあるのでしょうか。

耳貸さない政権は退場を

 これ以上混乱を広げないためには保険証廃止をやめるしかありません。岸田政権が廃止に固執するのは、保険診療が受けられなくなるかもしれないと脅し、マイナカードの取得を強制するためです。トラブルについて国会の閉会中審査などで徹底的に究明する必要があります。

 岸田首相は会見で、マイナカードを「デジタル社会のパスポート」と呼び、国民全員に持たせることを改めて強調しました。命にかかわる医療を人質に取り、問題が起きても立ち止まることすらしない政権は退場しかありません。


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