しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年6月23日(金)

主張

6・23「慰霊の日」

沖縄戦の惨禍 再び起こさせぬ

 沖縄はきょう、アジア太平洋戦争の沖縄戦で尊い命を奪われた二十数万人の犠牲者を追悼する「慰霊の日」を迎えます。沖縄戦で最後の激戦地となった本島南部の摩文仁(まぶに)の丘にある平和祈念公園(糸満市)では、「沖縄全戦没者追悼式」が開かれます。岸田文雄政権は今、空前の大軍拡を推し進め、沖縄を最前線基地として軍事要塞(ようさい)化しようとしています。「慰霊の日」に込められた「戦争による惨禍が再び起こることのないよう」(県条例)にするとの県民の切なる思いを踏みにじることは許されません。

軍隊は住民を守らない

 「慰霊の日」は1945年6月23日に、首里(現・那覇市)に司令部を置いた日本軍第32軍の牛島満司令官が自決し、組織的戦闘が終わった日として定められました。しかし、投降を許されなかった日本兵はその後も抵抗をやめず住民を含め犠牲者は増え続けました。

 沖縄戦の犠牲者の最大の特徴は、軍人よりも住民の死亡者数がはるかに多いことだとされます。

 今月19日、「第32軍司令部壕(ごう)の保存・公開を求める会」は「慰霊の日」を前に、「ひとりひとりの尊厳に思いを致し、戦争をしない/させないために」と題するアピールを発表しました。

 アピールは、軍人よりも住民の犠牲が増えた理由について、32軍が敗色濃厚にもかかわらず、「本土防衛」「国体護持」を目的に戦闘の継続・長期化を図り、首里から本島南部に撤退したことで「住民多数が避難していた南部一帯は軍民混在の修羅場、阿鼻(あび)叫喚の地獄と化し、戦没者・戦傷病者が激増」したと指摘しています。その上で、「慰霊の日」は「軍隊は住民を守らなかった」という史実を思い起こす日でもあると訴えています。

 平和祈念公園内にある沖縄県平和祈念資料館の展示内容を紹介する冊子は、沖縄戦での住民犠牲の実態を次のように記しています。

 ▽「鉄の暴風」といわれるほど激しく砲弾が撃ちこまれ、…本島南部の喜屋武(きゃん)半島一帯では、1カ月間に680万発もの砲弾が撃ちこまれた。これは住民一人あたり約50発(になる)▽日本軍は沖縄住民をスパイ視して拷問や虐殺をしたり、壕追い出しや、米軍に探知されないために乳幼児の殺害などをおこなった。…住民の食糧を強奪したり、戦闘の足手まといを理由に、死を強要した。

 「(憲法)9条の精神は、悲惨な沖縄戦を体験した私たち沖縄県民の命(ぬち)どぅ宝(命こそ宝)という強い思いと重なる」。日本共産党の赤嶺政賢議員は4月20日の衆院憲法審査会で憲法9条に基づく平和外交の必要を訴え、平和祈念資料館の展示室に掲げられている「むすびのことば」を紹介しました。

戦争を許さない努力こそ

 「沖縄戦の実相にふれるたびに/戦争というものは/これほど残忍で これほど汚辱にまみれたものはない/と思うのです」「戦争をおこすのは たしかに 人間です/しかし それ以上に/戦争を許さない努力のできるのも/私たち 人間 ではないでしょうか/戦後このかた 私たちは/あらゆる戦争を憎み/平和な島を建設せねば と思いつづけてきました/これが/あまりにも大きすぎた代償を払って得た/ゆずることのできない/私たちの信条なのです」。痛苦の体験に裏打ちされた言葉を今こそ心に刻みたい。


pageup