しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年6月20日(火)

差別投稿に賠償命令

東京地裁 安田菜津紀さん訴え認める

扇動は認めず

写真

(写真)判決を受け会見する安田菜津紀さん(左から2人目)と弁護団ら=19日、東京都千代田区

 ツイッター上に差別的な投稿をされたとして、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんが、西日本在住の男性を相手取って損害賠償を求めていた訴訟の判決が19日、東京地裁でありました。目代真理裁判長は、安田さんの訴えを基本的に認め、男性に対し33万円を支払うよう命じる判決を言い渡しました。

 訴訟の中では、安田さんが2020年12月に発信した、在日コリアン2世だった父親の出自などに触れたインターネット上の記事に対し、男性が差別用語を使った書き込みをしたことについて争われました。

 判決は、男性に損害賠償を支払うよう命じる一方、書き込みについては差別的な表現ではあるものの、差別を扇動しているとまではいえないとしました。

 判決後の会見で神原元弁護士は「基本的には勝訴。ただ、われわれが一番求めていた『差別こそ違法』という点は、若干不満なところだ」と指摘。そのうえで、「判決は、差別的な表現で(安田さんを)侮辱したとなっている。今の日本では、差別は違法だという法体系になっていないため、以前からある侮辱の範囲に押し込められた」と述べました。

 安田さんは「課題が残る判決であった」としつつ、「裁判では、『表現の自由』は『差別の自由』ではないという点を大切な前提としてきた。判決の中に、差別的表現であるという文言が加わり、賠償の中でも考慮されたことは、ほっとしている」と安堵(あんど)の表情を見せました。他方、「差別のない社会を目指すためには、個々人の努力という問題だけに矮小(わいしょう)化するのではなく、法整備の遅れが命にかかわると問題だということを踏まえたうえで、仕組みとして前に進める必要があるのでないかと感じている」と強調し、包括的に差別を禁止する法制度の整備を求めました。


pageup