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2023年6月19日(月)

きょうの潮流

 6月の味覚といえばサクランボ。赤いかれんな実に、かめば弾ける食感と程よい甘さが人気です▼イランからヨーロッパにかけて自生し、有史以前から食べられていました。栽培の歴史も古く、紀元前のヨーロッパにさかのぼるといわれています。日本に入ってきたのは明治時代になってから▼今年の収穫量は平年並みだとか。一昨年は4月の低温が影響して25年ぶりの不作でしたが、回復しました。なんと500円硬貨大の大粒のブランド品種も本格的に出回るそうです。そうでなくとも高価な果物。おいそれと口に入るのかどうか▼太宰治の短編にも登場します。題名はズバリ「桜桃」。サクランボの別名です。家族のささやかな幸福を願いながら、身勝手な行動を取る主人公。家を飛び出し、飲み屋へ。そこでサクランボが出されます。幼い3人のわが子に食べさせたいとは思っても、自分で食べてしまう…▼主人公の心の葛藤を示したのが桜桃でした。人びとの喜怒哀楽を交えて身近に存在していることがわかります。そんなサクランボにも受難の時代が。TBSラジオの「今晩は吉永小百合です」の中で語られました(5月21日)▼吉永さんがひとこと。戦時中に「不要不急の果物」の木としてサクランボが伐採されたこともあったと明かします。「そんなことが二度とないように、穏やかな心で味わえますように」と吉永さん。同感です。いま、岸田政権が急速に進める大軍拡に思いが及びます。衣食住が制限される時代の到来はごめんです。


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